奈良の庄屋の蔵解放。朱塗りの漆器大放出 -高円寺の隠れ家「こころみ」カフェ

  • 奈良の庄屋の蔵出し朱塗りの祝膳
  • 膳台、4椀一式を数千円の破格譲渡
  • 美品、保存状態良好
  • 祝いの食事に、インテリアに
  • 食事だけでなく珈琲、甘味利用も好適

 

 

週末の昼に一人で外食というのはかなり久しぶりな気がする。そこでしばらくご無沙汰して行きたかった店の筆頭である「こころみ」へ。

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玄関を開いて顔を覗かせて早々、あらお久しぶりですね、奥様の誕生日祝いぶりかしら、と若女主人。

 

久しぶりにお気に入りの店に来て、あれ、バイトがみんな変わったな、では味気ない。いつもの顔ぶれが揃ってお迎えしてくれる店というのがとても居心地が良い。それにしてもよくまあ、覚えてくれているものだ。おそらくは夜のコースを昼に出して欲しいだとか、二階の和室を貸切させて欲しいとかあれこれ要求の多い客だったからか。こういうのは誰に対しても覚えているものだと期待してはいけない。私は未だに同僚の顔名前もうろ覚えだというのに。

 

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暇潰しに写真を撮るのが好きな人には気にいる店なのではないかと思う。そこら中に被写体が溢れている。

 

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枇杷に手編みの布草履。なんとなく切り取った光景が絵になるというかなんというか。

 

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英工社の機械式時計。大正レトロ溢れるアンティークとして今でも人気の時計だ。そして眼を見張るのが天井の玉杢一枚板が嵌った格子天井。

 

今、同じものを作ろうとするととても高くつきますよ。そう言われるやつだ。しかし80年ほど前に(うろ覚え)この家が普請された時も、設計士から同じことを言われたに違いない。近代化が始まった世の中では既に需要も供給も減り始めた贅沢だったはず。そんな状況下で玉杢の銘木板の格子天井を作るのだからかなりの趣味人だったのだろう。

 

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今回は牛筋の煮込みを頂いた。お昼にもこのようにしっかりと前菜がつく。

 

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パンも自家製と言っていた気がする。手前のオリーブ入りのパンが特に好みだ。

 

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ここで食べていると痩せていくのではないか、体調が良くなっていくのではないかと思えてくる健康食。煮込みも美味しかったが、他で食べられなさそうな一品としてはあの具沢山スパイシーカレーをまた食べたくなった。

 

雑談から話が転じ、お知り合いの奈良の庄屋が家屋を仕舞うそうで、3つの蔵の1つから100セットもの朱塗りの御膳が出てきたそうで買い手を探しているのだという。

 

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100膳も並ぶような庄屋で執り行われる結婚式や祝いの宴はさぞ豪勢だったことだろう。

 

4椀と膳で1セット。これこそ、今、新品を買おうとしたら数万円あるいは十万円を超える品だと思う。

 

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電子レンジにも食洗機にも使えないし、洗ったら水気を拭き取って保管しないといけない手間はかかる。場所もとる。なかなか現代では使う人も少なくて小道具屋なんかでも引き取ってくれないのだという。何せ100膳。

 

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いや、漆ですよ。庄屋で大事に使われていた下地がプラスチックではなく木の品々ですよ。しかも見た感じ、反りや歪みが少ない。新品の漆器も安いやつは木の乾燥も半端で動いて歪むが、この漆器はもう動かなそうだ。

 

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朱塗りのお櫃なんてなかなか手に入らない。しかもこの杓文字付き。

 

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こういうのはワインクーラーにも使えそうだ。

 

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こんな丁寧に作られた漆器が貰い手がいないなんておかしすぎる。膳は一式数千円で構わないという。あり得ない値段。私は6膳ほどお譲り頂きたいと思う。これでハレの日に居間の床で馳走を作って食べたい。

 

興味がある人は是非、高円寺の「こころみ」で現物の色味や使用感を確認して欲しい。女将、若女将に朱塗りの御膳が見たいといえば快く対応してくれるはずだ。

 

ここ「こころみ」は食事だけでなく果実酒が美味しい。桃のコンポートゼリーなんかの甘味も美味しい。あの果実酒でかき氷を作ってくれたら夏の盛りには最高かもしれない。

 

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こんなことを書いていると店の回し者かと思われるのだろうか。スターバックスなどのチェーンが出店しない街なのが高円寺の魅力だと思う。そしてその構成要素は古着屋やライブハウス、センベロの安い居酒屋だけでなくこういう店だとも思っている。世の中に残って欲しいもの、自分の街に長く残って欲しい店があるとしみじみと思う今日この頃。

 

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