上海の手描き陶器店 Zen Lifestore


陜西南路の地下鉄駅前にはiapmモールという新しくて巨大なショッピングモールがあるのだが、この中には日本のどこでも手に入る高級ブティックばかりで買い物する魅力には乏しい。モールの中の玩具売場も輸入したそのままの英語表記のレゴや日本語表記のトミカばかり。


中国らしい何かを求めて上海の陜西南路から衝山路まで歩いた。


ここら一帯はフランス租界だったそうで、プラタナスの並木が続く。


目当てはZen Lifestoreという陶器雑貨の店。いわゆるシノワズリ陶器が比較的手頃な値段で売っていると聞き足を運んだ。

f:id:mangokyoto:20180120162239j:plain

手書きで花鳥が描かれた平皿や花器、筒状容器やコップが店内狭しと並べられている。

f:id:mangokyoto:20180120154041j:plain

f:id:mangokyoto:20180120153739j:plain

物によってばらつきはあるが、丁寧に絵付けされたものが多い。絵柄は同じだが異なる場所に絵柄が描かれているので同一の下絵をまちまちに転写していると思われる。単純な絵柄ほど線がヨレていたりするので、経験の浅い職人があてがわれているのだろう。

f:id:mangokyoto:20180120153755j:plain


f:id:mangokyoto:20180120153723j:plain

せっかくなので黄色地に桜と蝶が描かれた平皿とハンドソープディスペンサーを購入した。この水準の手描きの上絵付けの大絵皿やディスペンサーが188元(3200円)というのは日本では考えられない。お値打ちと言えるのではないか。自分で作れても3000円なんかで売りたくない。。。

f:id:mangokyoto:20180120153730j:plain

ところで、桜に蝶という組み合わせは日本でさほど見かけないように思う。描くとしたら菜の花に蝶ではなかろうか。何せ桜の花は菜の花なんかに比べて蜜が少なく蝶はそこまで寄ってこない。どちらかというと見かけるのは桜にメジロなどの鳥だ。ではここに描かれているのは桜ではなく違う花なのか、実態よりも願望図を描いているのか。いやいや、私の頭の中が桜といえば染井吉野を想起しているだけで、中国の山桜には中国の蝶の類が飛び回るのだろうか。


f:id:mangokyoto:20180120162115j:plain

f:id:mangokyoto:20180120162145j:plain

店舗の二階はカフェになっていてほぼ満席の賑わい。洋館の屋根裏部屋といった風情で案外と静かで落ち着いている。客は駐在員の家族と思しき白人が半分。日本人は見かけなかった。

f:id:mangokyoto:20180120154632j:plain

店舗で売られている陶器でお茶や珈琲、ケーキ類が提供される。

カプチーノにベルベットケーキをセットにしてもらって98元。1700円近いから日本の物価基準でもかなり高級なカフェだ。空間と雰囲気を売っているのだろう。控えめで静かな若い女性店員が一人で回しているので、注文を取りに来るのも飲物を提供するのもゆっくりとしている。

f:id:mangokyoto:20180120160754j:plain

何気なく出されたカプチーノ。左右を白黒に反転させている。高級スターバックスよりも芸が細かい。

f:id:mangokyoto:20180120161036j:plain

見た目が綺麗なケーキなだけに味は期待していなかった。こってり甘いのではないかと思ったが、酸味が効いて甘味も抑えてあって想定外に美味。長い距離を歩き回った後には丁度良い味だった。


スターバックスの高級珈琲にマーマレードクロワッサンも合わせて1700円。どちらも高いがこちらのケーキの方が1700円の満足度は高いし空間の文化的魅力と個性があって好みだ。スターバックスロースタリーはやはり、高い。

f:id:mangokyoto:20180120162108j:plain

中国的色彩感覚も華やかで彩り溢れて良いね。我が家は色が足らんな、と思う。居間や廊下が白と焦げ茶で彩度を抑えているのは満足しているのだけれども、例えばトイレだけだとか、二階の一室ぐらいは色に溢れた空間にしても良かったかもしれない。浅葱色だとか萌黄色、藍鼠だとか淡い和色を使って。