中国はもはや最先端という誇り ネット購買

中国(というよりは上海)には来るたびに驚かされる。

 

若い中国人と話していると、みな誇らしげにどれだけ中国のECが進んでいるかを語る。あれもネット、これもネット、私はもうオフラインの店では何も買わない。家電も雑貨も果ては野菜や果物まで全てネットで買うと胸を張る。そしてお決まりのようにいかにデリバリーが迅速かを語る。お届けまでの残り時間が表示され、即日、翌日に届くという。

 

韓国の商品、日本の商品だけを並べたe店舗サイトもあるそうで、日本にいる代理購買配送業者に注文するのだという。未だに国産品より海外製品の方が優れているという先入観は強いらしい。

 

中国のEC大手、アリババ社の運営する天猫(Tmall)という日本でいうところのAmazonのようなサイトがあるのだが、そこが仕掛けたW11という巨大安売りセールの日がある。11月11日を独り身の日と銘打ち、ネットでの自棄買いを煽ったイベントなのだがこれが拡大を続け独身も家族持ちもカップルも全ての人が殺到するネットセールの日になった。2017年には11月11日のたった1日の売上が3兆円弱に登ったという。楽天の年間売上が4兆円であることを考えると凄まじい。

 

家電から雑貨から食料品まで何でも売られていて、11月11日に向けてみなネットで欲しいものを漁り、買いたいものリストに登録していく。そして50%引きだとかになるW11の日に購入ボタンを連打するわけだ。同僚の中にはついに車を買ったというツワモノも現れた。さすがに車は10%引きだったそうだが。W11の直前は重要な仕事の依頼は避けた方がよさそうだ。彼らはそれどころじゃないのだから。

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彼らの50代、60代の親も当たり前のようにAliPay、WeePayというスマホアプリでの電子決済を使いこなしているという。私の両親はようやく昨年、ガラケーからスマホに買い換えたばかりだというのに。

 

上海人が天猫を説明すれば、アメリカでいうところのAmazonだけどもっとなんでも買えるECサイトだと説明されるし、Weechatを説明すればWhatsappみたいなSNSだけどキャッシュレス決済もできる数倍便利なやつ、と言う。もはや中国は真似する後進国ではなく、アイデアをさらに改良して一歩進んだものを生み出せる先端国家だという強い自負を感じる。

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都市部の購買行動は凄まじい勢いで変わってきていて、実店舗はより体験型に変化しつつある。若い中国人を刺激するのは新しい体験、人とは違う体験だ。調査によると新世代の都市部の中国人は欧米人や日韓人よりも人と異なることを恐れない。一生の思い出にお金をかけたいと思う度合いは世界平均よりも高いそうだ。

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ちなみに、懐古趣味的なカウンタートレンドは生まれていないのか中国人の若者に聞くと、古い家具や絵画、装飾はカッコいいらしく、そういうのに熱を上げる人達も増えているらしい。

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実店舗といえば来る度に上海のコンビニの品揃えは良くなっていて日本のコンビニに近づきつつあると感じる。ローソンやファミリーマートも至る所によく見かける。しかし、コンビニ業界で日本資本が高いマーケットシェアを謳歌する前にECとキメ細かいデリバリーに駆逐される恐れもあるのかもしれない。それこそ周辺客が天猫で購入した物品を受け取る配送拠点にできたらいいのかもしれないが、補完する追加商品やサービスが中国のコンビニにはなさそう。

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天猫で満たされずコンビニに行くとしたら急にアイスが食べたくなった場合だろうか。何故かハーゲンダッツの品数がやたら多く、苺フローズンヨーグルトや抹茶餅など日本にも置いてもらいたいフレーバーが多い。

 

会議も終えて帰ろうとしたら「今、ここに来てもらったuberに乗ってホテルまで帰って。支払いはもう済ませてあるから。中国のタクシーは日本と違って安いから気にしないで。」そう言って同僚に送り出された。客捌きがとてもスマートだな。