別にムンバイに限ったことじゃない。排気ガスと粉塵にまみれた街路樹があるだけで市街地に自然と呼ぶべきものはない。
ムンバイに行けばわかるけれども、この写真の箇所が別に特に汚い所を選んで撮った訳でもない。
インドはゴミの処理が下手なだけで、日本の方が遥かに大量のゴミを廃棄している。買い物して家に持ち帰るためだけにビニール袋を使い廃棄する。我が家も。
中〜高所得者層が買い物に行くショッピングモールのスーパーにはナチュラルさを前面に押し出した商品が並ぶ。
これだけ工業的商業的な世界で生きていても、自然由来、植物由来のものが体に良くて価値があると私達は信じている。
天然由来成分だけでは油脂の汚れは上手く落ちない。天然由来成分配合と謳う為に天然資源を気休め程度の量だけ使わなくてもよいのでは。
サステナビリティは素晴らしい。再生可能資源を材料として用い、後には生分解性廃棄物だけが残る。理想的だ。しかし半端なナチュラル志向はプランテーション化や天然資源の収奪を加速させるようにも思う。
天然〇〇成分配合なんて商品を使わずに環境負荷が少なく化学合成できる界面活性剤や保湿成分、シリコンやパラフィンでできた製品を使ったほうがより大きな絵で見た場合のナチュラル志向だったりしないだろうか。包装材は生分解性プラスチックを使って。
徹底的に従来の自然環境を変質化させていくのが人間という哺乳類なのだろう。これだけプラスチックを世の中にまき散らしたことによってプラスチックを分解する生物種の誕生を促した、なんていうトンデモ展開にはならないものか。
街中はゴミゴミしているが、ムンバイのチャトラパティシヴァージー空港は2014年にオープンしたターミナル2が清潔でアートにも溢れていて居心地が良い。
壁に国内各地域の伝統様式の窓枠や扉などが嵌め込まれているのだが、これが何度見ても感心する。
そしてGVKラウンジというビジネスクラスラウンジがあるのだが、これまた快適。壁一面に緑が茂り、ソファの触り心地も良い。
ほぼ全ての椅子に電源コンセントがつけられているのも有難い。日本便が搭乗開始となると、日本人と思しき客にその旨を教えに来てくれるのも親切。
果物や甘味、さらには生春巻きやらサンドイッチやらカレーやら、食事も充実。
砂糖無添加の生搾りジュースが無料で何種類もおかれている。グアバを基調にパイナップル、レモン、岩塩にカイエンペッパー。カイエンペッパーのせいで、果物の甘さが競演しているにも関わらず、辛い。
いや、これはインドならではの味だな、と感心した。ずっと飲み続けていると病みつきになりそう。
インドも中国と似ていて、綺麗に保つ領域とその他の落差が激しい。中国は比較的綺麗に清掃された街区が超中心地にはあったりするが、インドは綺麗とは言えない街並みの中に高級店があったり、その塀の中だけは綺麗にされていたりする。
ベジタリアンと言いつつも植物性油脂もりだくさんのこってりした料理は多く、時折、無添加の健康志向の強いこだわりを見せたりもする。
現実に目を背けた、気休めの「自然」や「健康」を大勢が求めているけれども、本当の「自然」や「健康」を手に入れる為に捨てなければいけない利便性や快楽は手放したくない。そんな気がする。