探し求めていた神湯「姥子温泉秀明館」

  • 神域から湧出する掛け流し湯

  • ここより厳かな風呂を知らない
  • 眼に効くという明礬温泉
  • 石仏、神箱、御堂、銅鐘古美術満載
  • 無駄のない清廉な廊下、座敷
  • 4時間ひたすら湯、読書、湯
  • 静けさの3000円の贅沢
  • 館内、どこも写真の被写体だらけ
  • 温泉マニアな外国人にささること間違い無し
  • 個人的最良温泉十選認定

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ハイアットリージェンシーから坂道を登って上強羅のバス停留所へ。道中、バスの運転手さんが、我が子自慢のように「ほら、右手の富士山、みてごらん」と誇らしげに教えてくれた。澄んだ冬空に聳える富士山を拝みながら大涌谷経由で姥子停留所まで行く。姥子停留所から目当ての姥子温泉秀明館は歩いてすぐだった。

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林間にひっそりと佇む秘湯宿かのよう。いや、ひと昔前はそうだったのだろう。

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 山間の廃校になった元尋常小学校が頭の中に浮かんだ。

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かつては修験者の為のお湯だったそうだが、その後、湯治場となり、旅館となり、現在は日帰り湯治場となっている。

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 10年ほど前に日帰り温泉を経営する「天山」にオーナーが変わりかなりしっかりと修繕されたようだ。一日数千人が訪問するような商業施設ではなく、あくまで湯治場として利用保存していこうという強い意向が感じられる。

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敷地内を歩いて回ると、参拝できる神箱と御堂が二つが見つかった。苔むした階段を登ると右手に石仏が並ぶ。

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 古びて角の丸まった石に繁茂した苔にところどころ陽が差し、そこが鮮やかな緑に輝いていて目を奪われる。

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 石仏好きにはたまらん。2019年は陶仏に挑もうか。はよ、陶仏作りに没頭したくなった。

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何かを語りかけてくるような気がしてくる。

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味のある古びかたをしている。一色ではなく、色が混ざれば混ざるほど存在感が増す。雨が流れた色、蘚苔類が繁茂した色、その蘚苔類が枯れた色。

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古い石造りの神箱の中にはガラスなのか水晶なのかわからないが大きな珠が入っていた。丁度正午ごろに陽が神箱の中に差して珠が光り輝く。

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こんなかんじで経年変化して苔類が緑を加えた風合いの陶器を作りたいのだよな。

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溢れ落ちんばかりに盛り上がった苔。

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私の好きな日本文化の美に溢れている。夏と違って柔らかく弱い陽射しを低い角度から浴びて表情が素晴らしい。


竹籠にタオルを入れ、湯に向かう。初めて湯屋を目の当たりにした時は「これだ」、と叫びたくなった。たぶん、側から見たら私は無表情のままだろうが、心の中では卓球の張本選手状態。ひんやりとした冬の寒気の中で、静謐に満たされて明るく注連縄と磐座が輝く。湯は透明で湯底まで見える。

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ここ姥子温泉は箱根屈指の泉質と名高い。金太郎の目の傷を姥が治したという伝説のある明礬泉で目の病に効くのだそうだ。不思議なことに大涌谷の目と鼻の先にも関わらず、硫黄泉ではない。春から秋にかけては磐座の下の壷湯の底から直接57℃の源泉が湧出し、加水無しで掛け流されているのだそうだ。冬は湯量が少なく、汲み上げているとのこと。無加水、無加温の掛け流しであることは変わらず。

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ああ、これぞ温泉。大自然の中の露天風呂に引けを取らない屋内風呂だ。これを求めてきたのだ。ようやく箱根まで来た執着が満たされて霧散した。別に体も関節も痛いところはないのだけれども、開放感と湯の気持ち良さに心が徹底的に癒される。

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平日の午前中、一人、静かに無言で浸かれたのも大きいと思う。6人も入れば窮屈であろうこの湯舟に窮屈に入っていたらここまでの感動があったかはわからない 。

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オールタイムトップ10の極上湯。来てよかった。知れて良かった。写真だけを見ても、「おお素晴らしい」と思ってもらえるのかもしれないが、その場に一人背筋を伸ばして湯に浸かり五感で空間を味わった素晴らしさを前にしては、写真で伝わることは僅かだ。


大勢でワイワイガヤガヤと楽しみに行く場所ではない。

電話しても繋がらず、来るまで入館できるかは不明。1日15組程度の少人数制で週末だと朝一番にこないと難しいかもしれない。

石鹸シャンプー不可で体を洗う場所はない。

静かに日帰り湯治に励む場所だ。

条件的に来る人を選ぶかもしれないが、私にとっては全てが完璧だった。

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