令和元年の終戦記念日という節目に鎮守氷川神社詣でと横尾忠則御朱印帳

埼玉にある鎮守氷川神社はここ5年ほどで人気の高まりを見せる御朱印収集家の間では人気の神社なのだそうだ。

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その理由が世界的グラフィックデザイナー、横尾忠則氏によるデザインの御朱印帳。毎月15日に100冊しか頒布されない限定御朱印帳ということで人気が集まっているのだそうだ。

 

 

そもそもデザインが魅力的だからといって比較的小さな地方の氷川神社で毎月100冊も御朱印帳は売れるものなのだろうか。それとも100冊が希少に思えて人気が沸騰しているのか。もし十分に在庫があるならば、逆に言えば希少性を失ったならば毎月100冊、年間1200冊も売れるものなのだろうか。意地悪なことを言うようだが、並んでいる人の顔触れを見るに横尾忠則ファンがそんなに多いように感じなかった。「あなたはいつでも買えるとしても、横尾忠則御朱印帳が本当に欲しいですか」

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まあ、理由はなんであれ、横尾忠則御朱印帳を求めて早朝から大勢の人が集まる。告知上は整理券配布は8:30から、頒布開始は9:00からと書かれている。

 

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5時に起床。実際は私が到着した6:40の時点で100人中89人が既に列をなし、冷汗をかいた。ありがたいことに到着し次第にすぐ整理券をくれた。7:00を前にして100人まで到達し、御朱印帳も7:00から頒布を開始してくれた。炎天下に2時間も待たされなくて実に有難い。

 

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樹齢400年の欅の御神木。

 

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境内には神饌田があり、稲穂が豊かに実っている。

 

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稲穂の守護、稲荷神社。

 

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そしてこれが令和元年の終戦記念日に頒布された横尾忠則デザイン御朱印帳。別に私に右寄りの国粋主義的な思想や嗜好は無いが、今のご時世、この日章旗的デザインは物議を醸しそうだと思う。改めて思うが、若い女性達が好むデザインとは思い難いのだよな。

 

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達筆。

 

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「戦後文化の奇跡1945-1995」を彷彿とさせる色遣いと意匠。生まれ育った西脇からB29の空爆に赤く染まる神戸を眺めた横尾少年。その作品は私にとって「消化不良」。理解できない。好きとも思えない。解釈不能な異物として際立っている印象。

 

意匠や建築として寺社仏閣に惹かれながら、今も宗教的価値観を理解できずにいる神道と仏教。そんな御朱印をあちこち訪れた寺社仏閣で収める器として横尾忠則御朱印帳はうってつけではないだろうか。

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もしやと思ってメルカリで「横尾忠則 御朱印帳」と検索するとずらずらと出てきた。3,000円のものが高いものでは13,000円、大体6,000〜7,000円で売られている。令和元年八月十五日の御朱印帳は既に4件が8,999〜11,000円で売りに出され、1件が既に売れている。私が早朝に空間を共にしたあの人の中に転売目的で購入した輩が複数名いたということになる。

 

10倍に発注していつでも誰でも買えるようにすれば、こんな値段は付かなくなるに違いない。本当に横尾忠則デザインの御朱印帳が欲しい人は毎月100人のなかにどれだけいるのか。この御朱印帳を御朱印で埋め尽くし終わる人は何人いるのか。バブル心理ですな。

 

虚構的価値に踊らされて振り回されて、大勢の命を散らす羽目になった先の戦争の本質を皮肉っているようで面白い。