夜に魔法のかかる「朱家角」

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水郷の千年古鎮を歩く。あ、いいなと思って眺めていたのは1箇所だけ三階の高楼を持った建物。木造四階建の「金具屋」旅館でも感じたことだが立体積層建築にはワクワク感を刺激する何かがある。何故か木造であることが重要で88階建の金茂タワーに泊まっていても、全くワクワクはしないから違いは何なんだろう。現代技術を駆使して各階ごとに屋根のついた木造10階建の宿なんか作ったら自分のような人間は感涙するに違いない。

 

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日が暮れると、水郷の街に魔法がかかる。

子供達に今年の夏、初めて「千と千尋の神隠し」を観せたが怖がって泣いてしまった。「トトロの方がいい、怖い」とのこと。確かに浅ましくガッツく親が豚に変えられ、見た目はバケモノのような異形の神々が跋扈するのだから。山盛りの料理を卓上に並べて高笑いをしながらがっつく人達を見ると、豚に変えられてしまわないか、などと無用な心配が頭をよぎる。

 

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そんな中国のあやかしが出てきてもおかしくないような映画のセットのような異国の街。

 

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石造りの橋は綺麗な半円の弧が連なる。欄干はとても低く、簡単に人は落ちてしまいそうな不安感がある。川の流れが止まり、水面が鏡のように静止して橋と水面に映し出された橋が真円を描いたら何か異世界でも開きそうな気配。

 

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京都の賀茂川沿いの床を思い出させる。上にいる当事者は自分の座っている床の下がどうなっているかは見えないから単に高床のテラス席にしか感じない。橋の上から眺めている人の方が「あんな高い床から景色見ながら食事するなんてさぞ気持ちが良いだろうな」と当事者よりも羨む。床板に隙間を開けたり鉄網にしたりガラス板を嵌めたり、高いところにいることをわかるようにした方が満足度が上がらないものだろうか。

 

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日本人は少ない。もったいない。私のiPhoneコンデジなどではなく、立派な一眼レフと撮影技術を持った人の旅行記録ブログなんかが見てみたい。

 

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川にせり出した一卓。こういうのも、当事者よりも遠くから眺めている人の方が良さを感じがち。ああ、あそこ気持ち良さそうだな、と。

 

こういう当事者よりも離れた所からの方が快適そうに見えてしまう建築上の効果や感性を研究している人はいないものだろうか。