風船山羊鉢 X アロエ「クリスマスキャロル」

  2月末日 植込み

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気に入っているアロエ「クリスマスキャロル」。それがきっとこの鉢に合うのではないかという漠然とした予感があった。

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背中から見ると、単に丸っこい鉢に植っているように見える。

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クリスマスキャロルの禾の赤さが彩度に乏しい鉢によく引き立っているように思う。

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前から見ると、よくわからん植物が背負われているように見える。アロエがもう少し群生した2、3年後が狙った姿。取り敢えずお気に入りの鉢と多肉植物の組み合わせがまた一つできた気がする。


土容量を大きく作れたので乾燥に弱い品種や根をしっかりと張らして育てたい品種に適している。

山羊の顔をもう少し愛嬌ある顔にしても良かったかもしれない。

角の釉薬が流れた。角の根元を薄くして釉流れを防ぐようにしたい。


2月中旬 窯出し

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さらに1ヶ月ほど作品が溜まるのを待ち、小窯で酸化焼成。少し目つきの悪い山羊だ。

 

1月中旬 素焼き窯出し 釉掛け

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みんな揃って素焼き計量。素焼きまで2ヶ月近く待機。早速、体躯にマグネシヤマット釉を、角には金ラスター釉を筆塗りした。

 

11月初旬 成形

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全く作る予定もなかった中で、無造作にたどり着いた形。身体が風船のように膨れ上がったなかに、前脚だけが突き出している。風船山羊と名付けた。なんだか、こんな山羊の出てくる童話絵本がありそうな。

何故と聞かれてもわからない形状。

こういうものは小一時間という短い時間に出来上がる。意図もなく無意識で作る変な形には何某かの深層心理やらが現れたりするのだろうか。

 

 

 

裃羊鉢 X グラプトベリア「薄氷」

2月下旬 植込み

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ちょこんと座った座敷羊。自宅に持ち帰った。

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西日を浴びて僅かに金色に鈍く光る角が好き。

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そこにグラプトベリア「薄氷」を植え込んだ。しっかりと茎立ちした引き締まった株だが、少し早すぎる寒い時期の植え替えなので無事に根付いて欲しい。

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あと2cmほど茎が伸びてロゼッタが正面を向いた姿が目指す完成形。来年の夏頃だろうか。葉も淡い緑に戻っていることだろう。

 
2月中旬 酸化焼成窯出し
1230℃で酸化焼成。無事に窯出し。
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同じ背景で焼成後を記録。緑青銅釉の緑は織部ほど明るくならず、なかなか落ち着きがあって良い仕上がり。
金ラスターは流れやすいので角の根本は薄く掛けて釉流れを抑えるようにすべき。
顔の毛の白と小袖は光沢の少ないマグネシヤマットで正解だった。さらにもう一色増やしていたら煩くなっていたように思う。さらに工夫を重ねるならば、小袖は白化粧を塗ってさらに白さを出して顔や手と違いを出すのも手かもしれない。
 
1月下旬 施釉完了。

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ちょこんと座った座敷羊に仕上がった。裃に緑青銅釉薬、身体にマグネシヤマット釉、角は金ラスター釉。

 

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あくまでも植木鉢だから、背には植え込むための穴が空いており、尻には水抜き穴が空いている。

何を植えようかね。黒法師のような茎立ちする多肉植物を傘のように植えてみるか。それとも、植える鉢に困っているカランコエ・ファングを植えるか。いづれにしろ茎立ちするやつだ。

 

1月中旬 釉掛け

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羊頭狗肉ならぬ羊頭人肉。羊の皮を被った人間。その質は狼より悪いのか、良いのか。

 

裃は階級社会に隷属した象徴かもしれない。行儀の良い羊。お仕着せ。飼い慣らされたサラリーマン。社畜。その立派な角は飾りか。

 そんな自虐で造ったわけでもないのに、何故こうなった。 
 

2021年1月中旬 素焼き

しばらく放置されていたものを漸く窯入れして素焼き。

 

2020年11月初旬 成形

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ふと、人形を作ってみようと思った。しかし人間の貌を造るのはまだ怖くて羊にしてしまった。2時間ほどで造形は終わった。早いのだか、雑なのだか。

 

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裃を身につけて正装した羊。背筋を伸ばした凛とした姿にしようとも思ったが、羊は背中が曲がっているのが自然かと思った。羊に猫背というのも変だが。

 

 

陶蟲夏草 団子虫 切花一輪挿し

今回、新しい試みが狙い通りに出来上がって一番嬉しいのはこれかもしれない。

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団子虫の脚の細かい造形も悪くない。下は意図的に水平に切ってないので、このように置くと斜めになる。

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うまく寸法の合うガラス瓶の上に被せることにより、水を入れた瓶に切花を挿して陶蟲夏草の世界観を出せるようにした。

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瓶は飲料コーナーをあれこれ物色し、C1000タケダをコンビニで買って使用。同寸法の緑の瓶もあったのでそちらも買ってみようか。

庭先にある雑草然と咲く黄色い花を手折って挿してみた。なかなか良い。

 

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西日で遊んでみた。この花はなんていう花だろう。

 

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土を入れて多肉植物を植え込んでしまうと、差し込む植物を簡単にその日の気分で変えることはできない。瓶の上に被せる方式だと、気分で違う切花を投げ入れられるので即興的に遊べてこれも愉しい。

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こちらは原種ヒヤシンス。外に咲いている時は気づかなかったが、室内に取り込むと存在感のある芳香を放っていることに気づく。

 

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陶器の径が違っても、それに合う瓶は不思議と見つかるものだ。

 

ガラス瓶に被せる様式の陶蟲夏草鉢をいくつか作ってみたい。下に水を入れた瓶を嵌めるので、源五郎、田亀、ヤゴ、太鼓打、影牢、蛇蜻蛉など水棲昆虫を載せて作りたい。

陶蟲夏草 第三弾 象、大黒黄金、金蚉、兜幼虫、団子2匹、天道虫

2月17日 窯出し

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かなり厚く掛けていたように思うが実用性を妨げるような失敗はなし。陶蟲夏草 第三弾が無事に焼き上がった。

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画一的すぎるとつまらないので、台となる鉢にもサイズや陶肌に変化をつけて遊んでいる。

 

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まずは「黄金虫」。赤土4号、釉ちぢれがかなり起きている。釉掛け後の乾燥割れも起きていなかったので表面をヤスリで削った後に、スポンジで粉を綺麗に落とさなかったことが原因の可能性が高い。このような風情として愉しむ。

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鉤爪はそのまま表現できた。

 

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2鉢目は「兜虫の幼虫」。薄掛け。側部にドベを塗って土っぽい質感を出してみた。植え込んで良し悪しが見えてくると思われる。天板はしっぴきで切った跡をそのまま残してみた。

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3鉢目は「大黒黄金」。蟲が赤土2号。かなり重厚感のある強装甲の黄金虫。初めて翅に縦筋を入れてみた。脚も刺々しい質感がうまく残った。土の透け感が良い塩梅。

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4鉢目は「象虫」。蟲が赤土2号。ピンホールが発生している。私としては生、素焼き時点での造形の甘さが気に食わなかったが焼成後に見違えた作品。眼の表現、脚の頑健さ、象虫のずんぐりとした印象がうまく出たように思う。天面が水平ではなく、斜面がついている方が大きめの蟲を載せる際に脚が安定しやすくて良い。

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5鉢目は「団子虫」。こちらは台の鉢に三脚をつけてみた。団子虫の小ささをそのままの印象に残す。

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6鉢目も「団子虫」。こちらは台座の鉢に底がない作りになっていて、土による植込みではなく、水を入れた切花の一輪挿しを意図している。

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 やはり蟲は黒土で作るに限る。白い釉薬の下から赤土の蟲が覗いてもぼやけた印象なだけに思う。

第三弾も概ね満足のいく仕上がりとなった。成形から窯出しまで3ヶ月弱かかっているが、殆どが素焼き、本焼成の窯待ち時間で実際の作業日数は半日x4回といったところか。植込みが愉しみだ。庭の暴れ育った多肉植物を巧く収めたい。

 

2月14日 素焼き窯出し、釉掛け

窯出しした素焼きの蟲はささっと釉掛け。

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この素焼き状態の土色の違いも見ていて面白い。アースカラーというやつで、このままでも本焼成したら飾りたい雰囲気ではあるのだが、ポロポロと壊れてしまう。釉薬で結合する必要がある。

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薄く掛かって色が出ないのが嫌でどうしても厚掛けしてしまう。柄杓で上から掛け流し、息を吹きかけて胴や脚の周りの釉薬を吹き飛ばす。

 

11月27日 整形

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右は大黒黄金、初めて後翅に縦の溝をつけてみた。

左は象虫。脚先の3つの節が今回のこだわり。

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小型ダンゴ虫を2匹。だんだん、作るのが手馴れてきたような気がする。小さいし釉薬で細部が潰れてしまうので、厳密にしなくても良いのだ。

 

一匹30分から45分ぐらいのペースで作っていく。同じモノを部品を量産するように作っていけば倍量作れるのだろうが、一つ一つ異なる形にすると、これはどうしようかと思案しながらになる。それが愉しい。

心を融解してくれた早咲きの桜

先週はとりわけしんどかった。

 

こちらの会議の予定など無視で突然電話が掛かってきては1時間以内にこれを調べろ、この説明資料を作れと指示依頼が来て、時限爆弾処理のような気分で時計を気にしながら毎日12時間近く机に張り付いていた。何回、議論がなされたことだろう。そんな結果として、今後はさらに過酷になりそうなことが決定された。さらに子供の送り迎えや晩御飯の準備も重なり、気が張り詰めっぱなしだった。

 

ここには仕事のことは書かないようにしているが、そんな背景があることは必要なコンテキストだと思う。コップに水は満杯近く溜まっていて、さらに加わったら溢れるのかもしれないと自覚しているような状況だった。

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まだこの季節に桜が咲いていることは期待していなかったので不意打ちだった。自転車で通り過ぎそうになったところを急遽、ブレーキをかけて見上げたらこの景色で、ハッとした。

 

物量で注目を集める「桜の名所」の群生よりも、花の一輪一輪を庭先で眺める方が良いのではないかと思っていた。しかし辻を曲がったら一面の桜だったとか、ふと見上げたら一面の桜だったりとか、遭遇した際の驚きも格別なものだ。

 

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桜は下から見上げて鑑賞すべしと昔の人は言った。まさしくその通り。そして見上げた背景の空が突き抜ける晴天なら、この上ない。

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この季節は寒緋桜だろうか。いや、河津桜に近いように思う。5弁のいかにも桜らしい花の形だ。今頃、伊豆の下田周辺は咲き乱れているのだろうか。

 

庭やバルコニーの蕾をいつ咲くのかと心待ちにするのも愉しいが、一面の桜には何か心動かされる特別な力を感じる。何なのだろうね。

 

コップの水は半分ほど蒸発したような気がする。

 

多くの人が大変な思いをしたこの一年。とりわけ2021年の桜は癒しとなるのかもしれない。

 

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高円寺にさくらさく。

 

京都に行きたい。

毘沙門堂の長い階段を上った先の枝垂れ桜。

疏水沿いの本圀寺の金鐘と桜。

蹴上の廃線上の桜。

千本釈迦堂のおかめ桜。

岡崎の堀の上に咲き乱れる夜桜。

京都植物園沿いの賀茂川の紅枝垂れ桜。

平安神宮の背の高い紅枝垂れ桜。

京都市役所の階段から眺める中庭の桜。

将軍塚の見下ろす桜の絨毯。

低い背丈の御室桜。

何年経っても、すらすらとあそこの桜はこうだった、ああだったと思い出せる。

 

 

2月の多肉植物

 

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双頭山羊鉢の背中で群生してもらおうと目論んでいるディソアンシーだが、いつまで経っても窯入れされないので植え込む前にもう咲きそうだ。

 

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背中で咲いて欲しかったのだがね。

 

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ディソアンシーは地味で小さい硬葉ハオルチアなのだろうが、小さいながらも複数の花を咲かせるようだ。楽しみ。

 

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ブルビネ・メセンブリアントイデスに花芽を発見。エメラルド色に輝く葉の中から伸びるそれは朱色を帯びていて小さいながらも凛と目立つ。

 

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シワシワしてるのだが、水をやりすぎて冷害を受けるのも怖いし難しいところ。ブルビネは多肉の中では寿命が短く、株分けも難しいので授粉させて種を採り世代交代して維持するモノらしいのだが、伴侶がいない。図らずも年頃の娘を持った親の気分だ。

 

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翡翠殿はすっかり紅葉してしまっている。紅葉して違う美しさを見せるというよりも、枯れているようでただ心配になってしまう。あまり翡翠殿の紅葉は美しくはない。はよ、暖かくなって翡翠色に戻って欲しい。

 

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美尼王妃晃はさらにロゼッタが赤紫に色付いてきており、葉の先の禾がこれでもかと紅く染まっている。脇の子株もだいぶ大きくなってきた。春には株分けしようか。秋まで双頭で頑張ってもらおうか。

 

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最後に、この冬で一気に膨らんだ感のあるハオルチアオブトゥーサ。週に一回、水をあげた分だけ膨らんでいるように感じる。

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雫石という和名をつけた人、センスあるわ。

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プリンプリンに張り艶がある。

 

冬はハオルチア、ガステリア、アロエが充実していると室内の多肉生活が楽しいように思う。

 

アロエ「鬼切丸」、ハオルチア「玉扇」、ガステリア「臥牛」を我が家に迎えたいと思いながら手頃な鉢に出逢えず月日が経ってしまっている。

 

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屋外においてある多肉植物再生箱の様子。「乙女心」が個性的な樹形に育ってきた。

 

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「銘月」も陶蟲夏草鉢に移植したい暴れっぷり。

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赫蓮、錦晃星も良い仕上がり。

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エケベリア「黄麗」も露天の寒さに晒されつつも辛うじて乗り切った。

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名前が思い出せない。センペルビウムか。

瀕死の銀揃を救出したい。

 

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「虹の玉」も芸術的な疎と密。時折り吹き込む雨以外に水はやらずとも育つことに感嘆。相当、乾燥に強い植物であることを改めて認識。露天に放置してた多肉植物がたくましく個性的に育ってくれていて、宝探しのようだったりする。

 

家の周りの、かつあまり目が行き届かないところにたくさん植木鉢を置いてみようかね。

 

小窯 酸化焼成 窯操作備忘

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窯詰めは前後左右に1.5cmは空間があることを確認する。転倒して電熱線に触れないように考慮して作品を配置。

 

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  1. コンセントを挿入
  2. 窯本体のスイッチをONにする
  3. 「基本」ボタンを押す
  4. 「5」番 1230℃のプログラムを選択
  5. 温度が出る 12℃
  6. スタートボタンを押し、起動を確認
  7. 600度まで1時間ごとに温度計測、ノートに記入
  8. 窯の上部の穴の上に鏡をかざし、水蒸気が出ているか確認。鏡が曇るならば水蒸気が抜けきっていない。水蒸気が出ていないことを確認して上部と前扉の穴に栓をする。

 

もし電熱線が破損していると900℃ぐらいから上がりが悪くなる。