サボテン近況 数景

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コンクリート鉢に植え込んだエキノプシス「紅鳳丸」の3頭仕立ては屋外に出してガンガン直射日光に当たってもらっている。とはいえ、紅葉の葉に多少遮光される配慮はしている。開花球まで育つとアンバランスなほど大きな花を複数輪上がるので楽しみにしている。とはいえ早くとも再来年か。


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白鳩丸も同様に吊るした。新しい棘がより太く長くなっているようで嬉しい。こちらは既に小さな赤花が断続的に咲いている。

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溢れて広がり続ける森村万年草も鮮やか。

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銅網越しに沢山の根が出始めているのがわかる。いわゆるサボテンが動き出しているというやつですな。

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獅子王丸にギムノカリキュウムと書かれているのに気付いた。オザキフラワーパークというなかなかの植物専門店なのに間違えるものなのだな。自家結実しているし確かにギムノカリキウムではなくパロディア属なはず。


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そして正真正銘のギムノカリキウム「翠晃冠」にまたも花が3つ。気付いたら胴の下からも4つ目の花が咲いていた。躯体を大きく育てたいならば花芽を摘んで咲かせないことで体力消費を抑えた方が良いのだろうか。

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早く陶器鉢を作って植え替えてやりたいがまだまだ時間はかかりそうだ。

叢の古木に比べれば小さいものばかりだけれども、長く大きく育てていきたい。

国立科学博物館 鹿の耳の位置の衝撃

 

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子供にせがまれてネット予約して訪れた国立科学博物館だったけれども、私としても地球館の常設展示に大いに収穫があって楽しめた。

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衝撃を受けてしまった。偶蹄類の耳はこんなに頭の後ろにあったとは。あるいは角が私の想像以上に額の前の方にあったということかもしれない。

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これなんて、角は目の上にあり、耳は遥か後方。国立科学博物館の地球館の世界の動物の剥製標本の展示方法が秀逸で一部が真上からもガラス製の床越しに見られるようになっている。

 

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こちらの真上からの光景で確定的。鼻から目、耳、角の順番かと思っていたが目と角、耳の順だった。通常の横から撮られた写真を見返してもそのように見えるので注意深く見ればその構造に気付けるのだろうが、私は先入観からか耳の位置を全くもって勘違いしてきた。そもそも資料を見ながら作陶してない。

 

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この目の形は覚えておきたい。上瞼と目尻は直線的。目の下部の輪郭は直線的。優しげな愛嬌のある理想的な目の形かもしれない。それにしても美しい生き物だね。美味しそうでもある。

 

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日本列島に生息していた古代鹿「ヤベオオツノシカ」。キリンのような大きさだ。

 

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絶滅した古代の鹿メガロケルス属の「ギガンテウスオオツノシカ」。事実は創作より奇なり。いやいや、こんなに大きな角があったら不自然すぎるし頭が重たくて仕方がないだろう。生存に不利になるし非現実的だよ。

 

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陶器で再現泣かせな巨大な角と根元の細さ。無事に焼成できてもすぐ折れそう。幼獣から成獣になるまでどのように角が成長していくのかも気になる。相似形で巨大化するのか、枝から板に変化していくのか。それにしても背骨よりも太いのではないかと思われる頚椎の太さよ。

 

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咀嚼するには不便すぎる牙の古代虎「スミロドン」だとか

 

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手前下方向に牙の生えた古代象「デイノテリウム」だとか

 

新生代四期のメガファウナと呼ばれる巨大獣類の大量絶滅前は獣達の過剰発達のファンタジー世界に思える。やはり性淘汰の産物なのだろうか。「ヘキサメリックス」という6本角の鹿もいたらしい。

 

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巨大な獣類の角と毛皮で作った住居もゲームの世界さながら。

 

自然史博物館の類は創作アイデアの宝庫。

2020東京五輪開幕

いろいろな資料で1964年の東京オリンピックのことを見聞きした。東京羽田モノレールや東海道新幹線などが整備され、カラーテレビが一気に普及し、各地に運動施設ができて市民スポーツが盛んになった。高度成長期の始まりで日本人が世界の表舞台に本格的に復帰する契機となり日本人が自信をつける大きな転換点の一つとなった。そんな話だ。


「オリンピックには大変な費用がかかるので、いろいろな点で国民に負担をかけ、犠牲を払わせている」(東京60.6%、金沢53.7%)、「オリンピック準備のために一般市民のかんじんなことがお留守になっている」(東京49%、金沢29%)、「オリンピックに多くの費用をかけるぐらいなら、今の日本でしなければいけないことはたくさんあるはずだ」(東京58.9%、金沢47.1%)、「オリンピックは結構だが、わたしには別になんの関係もない」(東京47.1%、金沢54.3%)

これは2020年大会ではなく1964年大会の開催前の世論調査結果だ。別に全国民が諸手を挙げて歓迎していたわけではない。2020年大会もコロナ禍の中で感染拡大リスクを冒して開催する意義があるのかなど賛否両論だが、開催後に世論は前回大会のように変わっているだろうか。もう始まった以上、やって良かったと思えるような内容であって欲しい。


いつの間に開会式当日になった。当日までは家族内で話題に登らなかったが、家族みんなで開会式を見ようということになった。この日は子供達はリビングに布団を敷いてお祭り気分で夜更かしを許された。選手団入場のカ行の国で二人とも寝落ちしていたけれども。


看護師をしながら出場を目指していた津端ありささんのコロナ禍での選手の孤独な戦いを表した演出。


各国選手団の入場の音楽がドラゴンクエストなのはその意外性と選曲の良さに興奮した。海外ではさほど売れてないし知名度はないかも知れないが、日本人がこれほど湧くゲーム音楽はないだろう。


MISIAによる国歌斉唱はこの大舞台を張れる歌手がいることに誇らしくなる。


1824台のドローンによる群体飛行演出は最も新しいオリンピックらしさだったがintelのパッケージプランなのは少し残念。国産の技術で実現できていたら尚喜べたのだが。


仮装大賞を彷彿とさせるピクトグラムはコミカルでくすりとしながら見入った。


バッハ氏の深夜の長すぎるスピーチは顰蹙を買ったそうだがある意味、期待通りなのかもしれない。


開催への感謝を述べた今大会初金メダリストを日本にもたらした柔道の高藤選手。選手生命を考えれば今大会が最後の選手も多い。オリンピックは国際スポーツ大会で試合で競うことが本筋。開会式の派手さや創造性、政治家の外交、経済効果を当て込んだ取り組みなど周辺が肥大化しすぎたことが浮き彫りになったように思う。


国立科学博物館 特別展 植物 地球を支える仲間たち


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子供達にねだられて朝9時入場予約をして上野の国立科学博物館の特別展へ。まあ、植物展なら私としても悪い気はしない。子供が行きたがっている植物展なら連れていくに違いないと妻に操られていたかもしれない。

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朝顔の発芽から開花までの高速再生映像、植物の視覚、重力覚、触覚などの説明や離島の植物の種子が巨大化する理由などいろいろと新しいことを知ることができて面白かった。


もっと実物植物の展示が見たかった。食虫植物が目玉扱いされているようだったが、巨大模型はあるものの、水槽に入った小さな現物展示だけだった。ハエトリソウは消化に何日かかるのかとか、1日ごとにハエが捕獲されて消化の経過がわかる展示だとか、消化液の強さの比較だとか、踏み込んで欲しかった。


印象に残る話としてはキャベツはモンシロチョウの幼虫に食害されるとステアリン酸を主成分とする特有の匂い物質を分泌し、モンシロチョウの天敵であるアオムシコマユバチを呼ぶらしい。そういう植物と蟲の共生関係が色々とあるらしい。しかし寄生蜂に寄生されたアオムシのほうが食用旺盛になるので果たして食害を防ぐことになるのかという議論もあるらしい。案外、騙し騙される油断のならない関係なのかもしれない。

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特別展のグッズが熱い。食虫植物型ポーチ。ハエトリソウのジッパーを開けるとハエが出てくる。クッションが厚く入っているのでワレモノを入れるのも安心。感度の高い女子がデパコスの高級リップを入れるのに最適なのではないか。

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こちらはウツボカズラポーチ。こちらもクッションが厚く入っているので冷えたペットボトルを入れるのに最適かもしれない。

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ポーチは少し予算オーバーだったのでビスケットを土産に買って帰った。なかなかディテールとデフォルメのバランスが良い食虫植物が描かれたビスケット。ラフレシアウツボカズラ、ハエトリソウに腐った臭いの巨大花で有名な蒟蒻の花。

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蟲を苗床に植物が生える冬虫夏草に対して、植物が蟲を食べる食虫植物。こちらもいつかは陶器で制作したいモチーフ。

叢展 サボテンの群生

新宿伊勢丹で催されている叢展を子供達と覗いた。

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叢とは「草が群がって生えているところ」を指すのだが、ここでいう群がっている草とは何十年のサボテンや多肉植物の古木ばかり。

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一つ一つが選りすぐられた存在感のある株ばかりで目眩がする。空間にポツンと置いて主役になりそうな逸品だらけだ。

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子供が「脳味噌ー!」と喜んでいたがこんな脳みその人はなかなか痛々しいに違いない。

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こういう柱サボテンに継いだ玉サボテンを見ていると、やはり早く大きくするには接木が一番なのかと思う。不健康に無理に成長促進させられた感が否めないのだよな。しかし成長の遅い品種を早く大きくしたいのも本音。

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66,000円なんてとびきり高くはない。なかには30万円なんて株もあった。10万円の株もざらに並ぶ。

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壮観かな。福禄龍神木も胴切りを繰り返して株分けしながら枝別れさせていく姿はなかなか魅力的だ。

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ホリダの巨大球。接木でもない。27,000円はお買い得に思えてくる。

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恩塚鸞鳳玉の巨木。柱にならずにここまで大きな塊になるものとは知らなかった。

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緋牡丹の群生柱マウントが目を引く。

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希望丸だろうか。さして変わった品種ではないものでもこのサイズになると迫力がある。49500円だそうだ。

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セレウス ペルビアナス スピラリス。燦々と陽の差す30畳ぐらいのリビングにこんな株が置かれているのも素敵だろうね。

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鬼面角に紫太陽とマミラリアを継いでいる。柱の上に頭でっかちな玉サボテンを継ぐのは好みではないけれども、鬼面角の枝に乗せるのは良さげ。我が家の鬼面角をまずは枝分岐させなければ。

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紅白も良いね。


多くの家庭が持っているように数百万円の車を私は所有していない。ゴルフも行かない。5万円ぐらいのサボテンが1つや2つあっても全く放蕩ではないように思えてきた。

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眼福、眼福。


とても個性的なサボテンばかりだが、植木鉢は素敵だけれども平凡といえば平凡に思えた。まるで一体化したようなサボテンの個性に負けずに調和する存在感ある鉢の姿があり得るように思う。


「竜とそばかすの姫」と実名で何かを表現することについて

子供達を連れて朝8時の回で細田守監督の「竜とそばかすの姫」を観てきた。


この映画の中身に対して事前情報が無かった。単にカンヌで上映され14分間のスタンディングオーべーションが起きたというニュースを見て、子供を家から連れ出して外で時間を潰さないといけないならこれだと思っただけ。


映画「ダンサーインザダーク」を思い出した。その音楽と映像、その感覚と表現。心動かされる表現があって素晴らしかった。中村佳穂という鳥肌モノの美声の歌手を今更にして知った。


誰もが偽名とアバターで仮想空間で好き勝手に言う世界で、身バレして本名を晒して何かを表現する恐怖は私も分かる。


サマーウォーズの二番煎じだとか、伏線を回収していないだとか、音楽と映像だけだとか、細田監督はどうしちゃったの酷いだとか、これなら私でも作れるだとか、もう作中のネット社会と同じように現実でも批判が映画評論サイトに垂れ流されている。よくそこまで言えるものだ。細田監督は自分の作品への批判的批評を見るのだろうか。観ればなんだかウケの良さそうなことが察せられる「サマーウォーズ」の評価が高かったから「バケモノの子」でも「おおかみこどもの雨と雪」でも「ミライの未来」でも批判は多かった。確かにと思う批判も多かったがそれで作品全体の価値が台無しになるとは思わなかった。もし批判を細田守監督が読んでいたら少なからず傷ついただろうし、それでも次は前作の批判が来ないような作品を作るのではなくこうして「竜とそばかすの姫」を作ってくれたことが素晴らしいと思う。


誰もが確かにそうだなと言うような批評ができたとしても、その批評家がモノづくりした者より優れていることには決してならないと思う。モノづくりする人の創作意欲を掻き立てるモノを作り出した人を私は深く尊敬する。偉そうに優劣や違いが分かることを誇示する単なる消費者よりも。


私は細田守監督作品の中で本作が一番好きかもしれない。映画が必ずしもストーリーやら登場人物のその後やらを全て説明し尽くす必要はないと思っているし、観る者の心を動かす瞬間があれば成功なのではないだろうか。そんなに世間の人にとっては尺の中にバランスよくストーリーが上手く収められていることが重要なのだろうか。伏線は回収されないといけないのだろうか。足の悪い犬の説明エピソードがないと消化不良を起こすのだろうか。



実名を出して何かを表現するのは怖い。当事者は作品や表現への否定と自分への否定をわけることはできない。


平凡でそばかすだらけの冴えない地味な田舎の小娘が素の姿で不特定多数の前で歌い表現することの恐怖。他人の評価や視線が気になる年頃なら尚更だ。

細田守監督ですら罵詈雑言が寄せられる。あの素晴らしい歌を披露した中村佳穂さんに対してすら、「でも容姿はブス」などと酷い言葉が投げつけられている。どんな形であれ表に出る人間には匿名の批判や否定を甘んじて受け止める義務があるとでもいうのか。


私も趣味で陶器作品を作る。匿名のこのブログで晒す分には気にならないが、実物の私を知る人が私の陶器作品を見るときはとても居心地が悪くなる。

何これ変なの。気持ち悪い。

あまり一般ウケしなさそう。

これ売ったの?買う人いるの?

もっと上手い人他にたくさんいるよ。

あーナウシカとか好きな感じ?

なんかデッサン狂ってない?

なんか似たの見たことある。

ちゃんと修行して技術を身につけてない人が違いのわからない素人に値段ふっかけてるのを見るとイラッとする。(一般論としてと言っていたが)

もっと〇〇みたいな作品作れば?

もっと〇〇みたいにした方が売れるんじゃない?

こんな趣味のために本業の手を抜いてない?


ほとんどは言われたことがある言葉で、一部はニュアンスを感じ取れたこと。妻や信用できる仲の良い友人は私に対して本音を話してくれるし、私の陶芸を理解してくれることを妻や友人に期待しているわけではないのでああそう思われてるんだな、ふうんで終わる。それで嫌いになることなどない。おそらくそこまで仲の良くない友人や知人は無関心かもっとキツイ批判的な感想を持ってるかもしれないが敢えて私の前では言うことはない。私のいないところで、あるいは匿名で言うのだろう。


あなたに認められるために作っているわけでもないし、あなたのお気に召すように自分の表現をねじ曲げてまで迎合する気もない。なのに「ああ残念、私はこういうほうが良いんだよね、惜しかったね」みたいな上から目線で評価をする人がいかに多いことか。なぜ私はあなたの合格をもらうために何かを作っていると思っているのだろう。純粋に作者はこういう表現がしたかったのだろうと受け止めずに、表現者が何がウケるかを模索した前提の批評をする。


私はメンタルが弱いから実名で表現することを仕事にはできないと思う。だから細田守監督も中村佳穂さんも、表現を生業にしている人はすべからく逞しいし強く向き合っていると思っている。だから勇気と刺激をもらえる。


まあ、そんなわけで私は作陶に関してはひっそりと趣味で作りたいモノを作り続けたい。匿名でも表現を公開すると自分と感性の合う人と出会えることもあるし。

種類の判別できない芋虫

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家族で出かける途中で地面を大きな芋虫が這っていた。皆がジョギングする緑道なので気付かずに踏まれてしまいそうだった。大きな目の紋様があって縮んだ姿は蛇頭のよう。

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取り敢えず花壇の上に避難させたのだが、この幼虫が何の幼虫かがわからない。大きな目玉模様があって尻には白い突起。スズメガの幼虫に似ているように思うのだが、調べても同じ幼虫が見つからない。


毎年、スカシバはよく見かける。ミスジスズメガも見かける。


何だろう。気になる。ビロードスズメの幼虫が最も近しいように思うがどうだろうか。


一匹だけでは繁殖できないわけだが、この都会にそんなに高密度で同じ種の個体数が生息しているようには思えない。個体同士が接触して繁殖するために必要な最低生息密度はどの程度なのだろうか。