白馬生活

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白馬と東京に二拠点生活する友人宅に2泊3日で泊まりに行った。
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家を出てすぐ田圃と白馬の山々の光景。空気は寒く凛として実に清々しい。
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パグがめちゃカワイイ。12kgの重量級のおばあさま。
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愛犬と共に岩岳に登った。肉付きの良いお婆ちゃまは寒さはさほど気にしないようだった。
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氷を敷いて上を橇で滑られる遊具なんてのもある。さすが、氷だととんでもなく滑る。
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五竜スキー場は上から下まで8kmノンストップで滑れるそうだ。
ガツガツ滑らないバケーションモードの欧米人、とくにオーストラリア人が多くて1000円のカレー屋とオシャレな3000円のカレーを出すカフェが混在する。なんだか上級市民と下級市民それぞれのレストランのように客層が分かれている。

フレンチアルプスと比べると3000円でも高くないし、せっかくの限られた時間ならよさそうな雰囲気の店を楽しみたいという感覚なのだろうな。私が何十年前にタイで相場1時間600円のタイマッサージ屋が溢れる中で2000円の生活で雰囲気の良いマッサージ屋に入った時のような感覚なのだろうな。
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空が晴れ上がると素晴らしい光景が広がる。あいにくこの日は重たい雲が被さっていたが、瞬間、山肌が陽に照らされて素晴らしかった。
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ニセコはオーストラリア人のリゾート地化したことで有名だが、ここ白馬も一泊何十万円の高級別荘を2週間や1ヶ月借りるような海外からの富裕層も多く、白馬の後に金沢や京都に抜けて行きたい人はニセコではなく白馬を選ぶらしい。
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山頂のドッグパークは雪の中をボール拾いに夢中に駆け回る長毛の犬が沢山いた。

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枝につく雪が美しい。

羊頭狗肉

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ちょうど1年前の9月18日に亡くなった愛犬マンゴー殿を偲び悼む「羊頭狗肉」2弾。

 

子犬だったころを思い出して頭の大きい足取りも不器用な頃の姿。ホテルのスリッパを嚙みちぎって部屋をゴミだらけに散らかしたっけ。
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アイキャッチと呼んだか、羊の眼も犬の眼も光が当たるとより生き生きとした表情になる。羊頭を被った人に手をさらに加える前に乾燥して中途半端な状態で造形が中断されてしまったのが少し残念。
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大きな不幸もなくそれなりに幸せな犬の一生を送ってくれたのだと思うし14歳の死は悲劇でもないはずだが寂しい。あの温もりと獣臭が時折、実感を持って思い出されてしまう。

作り続けたら部屋が溢れてしまう。

 

羊頭狗肉 其の二

スタンダードプードルのいる中野駅前のカフェ「タイニーアリス」が閉店してしまっていた。犬欠乏症が加速する。犬と遊びたい。

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まんだらけで「火の鳥鳳凰編を買って芝生で息子と読む。私の中で最愛の漫画は何か一つを選べと言われればこれかもしれない。

 

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羊頭狗肉オブジェを作り増したくなった。
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これはなかなか気に入っている。植木鉢でも何でもない無用のオブジェなのだが、無用だからこそありのままが全てとも言える。

 

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そんなわけで陶蟲夏草鉢を作る予定が狗と戯れるオブジェを作ってしまった。次に工房に行けるのは3週間後だということを忘れて半端なタイミングで作ってしまった。
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少し兎寄りの大きな耳の狗と兎寄りな顔つきの山羊頭を被った人間の羊頭狗肉シリーズ其の二。人間の手首とか狗の首周りとかもう少し固くなってから手直ししようと思ったのだが、3週間後だともうカチコチに乾いてしまうだろう。狗の爪ももう少し丸めたい。
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なんだかよくわからん。何なのだろう。何を意図したのか聞かれても困るものになってしまった。
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小さいと顔を作り込むことができない。手首も手直しが必要なのに。
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この角が乾燥時の伸縮と重力で歪むから来週あたりに修正したかった。もうこのまま荒いままで本焼きまで突っ走るか。作業時間2時間の手遊び造形なので良しとしよう。
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足を伸ばした人と身体を伸ばした狗の組み合わせ。片膝立ての人と脚で頭を掻く狗の組み合わせ。作りたいものはいくらでもある。

 

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ようやく本命作業の団子蟲鉢を作った。背中に隙間を作ってドライプランツを差し込んで飾るタイプ。
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頭と尻に穴を開けているので鉢の上に載せ、穴から根を下ろせば深く根を張る植物も植え込める。
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陶で水晶と揚羽蝶の幼虫を作った陶蟲夏草鉢も欲しいように言ってたな。作ってみようか。
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ううむ。触覚と眼が大きい。修正せねば。

 

何が当たり前か

年に3週ほどの休暇のために49週働き、毎週2日の週末のために5日働き、毎日7時間の睡眠と2〜3時間の私的な時間と食事時間のために10時間働く。

 

それが当たり前だと思って働いてきたが全く当たり前ではないことに気づき始めている。いまさら、遅いけれども。なのに週末が明ければまた職場に行く。来週もそのまた来週も。全くもって不自由だ。馬鹿で愚鈍とも思う。

 

 

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夢に昨年亡くなった愛犬マンゴー殿が出てきてしまった。朝起きたらどうしようもない無力感、脱力感。どうしようもなく会いたい。一緒に過ごす時間が14年で終わるとは思わなかった後悔がある。職場に行って仕事熱心なふりをするのがしんどい。申し訳ないが全てどうでも良いと心の底では思えている。
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頭の中では土を捏ねて作り出したいものが無数にある。技術が全く足らないのも自覚している。失敗作を累々と重ねていく先にしか辿り着けないであろうことも想像がつく。
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「陶蟲夏草鉢」を一通り企画展示販売用に作り溜めした後はこの「羊頭狗肉」シリーズを気が済むまで作りたい。マンゴー殿を偲びながら作りまくる。植木鉢という実用性もない、ただ土を形にして焼くだけの追悼。

 

手塚治虫の「火の鳥」で我王が一心不乱に像を彫りまくるあの心境。

犬と桜とGO CRAZY CAFE

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おそらくは桜を愛でる最後の週末。息子と善福寺川沿いをジョギングした。
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忘れ物だろうか、猫のクッションが置かれていた。
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雨や曇りの日が続き、貴重な晴れの日の桜を愛でる。
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そして2ヶ月ぶりに再訪したGO CRAZY CAFE。女主人は私のことをしっかりと覚えてくれていた。前回、全身麻酔のリスクをとって飼い犬の歯垢除去をすべきか悩んでらしたのであれこれメリットデメリットを話し込んだのを覚えている。
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まだ夜に酒を飲みに来れていないのだよな。そのうち。
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ここに来たい目的の一つが犬。陶芸、園芸に加えて私の人生に欠かせない潤いは犬だと最近、痛感している。13年前に日本に帰国して以来、犬のいない初めての冬は寒かった。朝起きると身を寄せている犬猫の体温ほど物理的にも心理的にも癒されるものはないのではないか。
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犬の下のコンクリートブロックの間にクローバーがフォトジェニックに写っていることに後から気づいた。トイプードルはもう12歳と言っていたっけ。名はコワソン。年老いて施設に入った方から引き取った犬で交通事故に遭い粉砕骨折した左前脚が使えない。
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ジーは保健所で殺処分間近を救出された。初対面の人間が怖い。どんな仕打ちを受けたのだろう。この子に受け入れられるように通いたいと思っている。

それと茶色の大きな人懐こいボノ。大きく親分肌で人懐こい。

穴場発見善福寺公園のGO CRAZY CAFE

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梅里公園から妙法寺、大宮神宮から善福寺沿いをジョギングしてたどり着いた公園に面したカフェ「GO CRAZY CAFE」。公園沿いにテラス席を並べてくれている気持ちの良いカフェ。
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夜はバー営業もしているそうだ。両親はドイツ人と日本人だという感じの良い女性が昨晩は深夜の1時までカウンターに立っていたそうだ。
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なかなか私好みの雰囲気。少し遠いが夜に来てみたい。
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壁画は少しピカソ調とでも言うのか。
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公園沿いのベランダ席に珈琲を運んでくれた。一杯300円。安い。公園の中を犬を散歩する人やジョギングする人が往来するのを眺める。
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なかなか好みなカフェバーを発見できて嬉しい。ターコイズに塗られた欄間が架けられている。
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思ったよりも寒いので1階に移動する。全く店名のようなGO CRAZYな粗野さはなく落ち着いた雰囲気。もう開業して3年になるという。
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店主はトイプードルのほかに2頭の大型犬の保護犬と猫を飼ってらっしゃるそうで話に花が咲いた。
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各席にはフックがあり、散歩中の犬をつなげる配慮のようだ。
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チリビーンズとバゲットも頂く。600円なり。他にもカレーやらスイーツやらカフェらしいメニューはあれこれある様子。
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良い店を見つけた。また再訪しよう。

 

朝9時からなので週末のジョギングと朝食に良い。4〜5km先という走るのに程よい距離にあるのも良い。

マンゴーDay1とLast Day

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マンゴーと初めて会った14年前の日の写真が出てきた。ブリーダーさんの家で撮影したものだ。どちらがマンゴーか分からん。兄弟はどこで生きているのか、まだ生きているのか。

私のフィリピン駐在に妻が仕事を辞めてついてきてくれた。結婚した。しかし私はフィリピンを拠点にしながらも毎月海外出張で家を空ける生活だったので妻が寂しさを紛らわせるために迎え入れたのがマンゴーだった。

 

家父長制でも亭主関白でもないし、妻の家庭内の地位は高いのだろうけれども、我が家という群れの首領は私だとマンゴー殿の基準では認定されたらしかった。私が2階にいれば2階に、1階に行けば1階に常についてきた。

 

 

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最期の夜、最期の相方との晩酌。よくわからない祭壇のようになった。

自宅にあるもので最も良いものを掻き集める。薄暗くエアコン20℃の寒い部屋の中で、見つめながら、偲びながら飲む。
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なんだか、そちらから降りてこちらの膝に乗ってきそうな気がする。寒いのが苦手な犬だった。
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シシャモにポテトサラダ、貴腐ワイン用葡萄を干した干葡萄。
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先輩から貰った黒江戸切子のグラス、日本酒は鳳凰美田の黒鳳凰
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マンゴーが好きだった梨。これは私が一番好きな果物だからよく買って少しばかりお裾分けしていたから。立派なあきづきの玉。そしてマンゴー。フィリピンマンゴーはペリカンマンゴーとも呼ばれ黄色い少し勾玉のような形をしているのだが近くのスーパーで売っていなかったのでメキシコのマンゴーで我慢してもらおう。朝、一緒に火葬してもらおう。

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亡くなってから3日目でも鼻先は瑞々しく濡れ、いつ目を覚ますのかわからない生前との変わらなさ。死んでるとは思えないのだよ。

 

私の直近の人生の1/3はマンゴーが常にいたので、それ以前の生活がもう思い出せない。

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火葬車に来てもらい、焼いてもらった。800℃なので陶芸の素焼きぐらいの温度だ。それで肉は全て焼き消え骨だけが残る。

生前好きだった食べ物や玩具を一緒に焼いてくれるというので、マンゴー、あきづき梨、鶏ブイヨンで低温調理した鶏胸肉、ささみジャーキーを焼いてもらった。まるで手の込んだ肉料理レシピのようだ。ある瞬間には甘く柔らかい肉に焼けてたに違いない。
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こんなに細い骨でできていたのか。この骨で鴨川の河川敷を自転車の横を伴走し、比叡山の山奥を駆けたのか。九条山、日の出峠へよく散歩に行った。骨付き鶏腿肉を一緒に焼かなくて良かった。混ざって分からなくなるところだった。

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儚い。いなくなって感じる空虚感だけ、心の中を相棒が占めていたということなのだろう。

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フィリピンの貝細工の箱にいくつかの腰椎と歯を収めた。分骨したくなる気持ちというのもわかる。これだけ骨の数があるならば偲び慕う人達に分け与えようと思った昔の人達の気持ちは至極自然なことに思う。

 

朝になると散歩に行かなきゃと無意識に思ってしまう。まだ慣れない。良い犬だった。一緒に過ごせた犬がマンゴーだったことは光栄で幸せなことだった。

 

新しい命との出会いに溢れていた30代。これからの40代、50代は別れが増えていくのか。マンゴーとの別れはその先触れなのか。自分の人生は正午を過ぎて陽が傾くフェーズに入りつつある。