触手鉢 X ユーフォルビア「白樺麒麟」

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植えて直ぐに思った。何か違う。ネット検索しても、この株のように枝が暴れ放題な白樺麒麟は見かけない。

ただでさえ、枝ぶりが騒々しくて煩いのに、これまた触手がうるさい鉢に植えてしまった。

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根腐れしやすいというこの白樺麒麟は水穴の空いていない鉢に3年ほど植っていた。よく根腐れしなかった。いつも根腐れを懸念していた分、水やりが厳しめだったせいでこのような暴れ枝だらけになったのだろうか。そして現在は桃色に目一杯、紅葉している。ピンクなのにカワイイより気持ち悪さが勝ってしまうとは哀れかな。

 

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ああ、コレジャナイ。案外、直感で組み合わせても気にいることも多いのにこいつはダメだ。気持ちが悪い。鉢と株が気持ち悪さを相乗させている。

 

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畳の上に置いて撮ってみても、どうにもならない。マンゴー殿も寄ってこない。

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冬の陽光に逆さに撮っても、不似合いが解消されるわけでもない。もう、多肉植物と植木鉢の組み合わせを単に間違えた。それ以上のことはない。

 

ただでさえ耐寒性が高くない品種だというのに、植える際に根にもダメージを与えているだろうから再度植え替えするのは憚られる。気持ち悪いまま来年秋まで頑張ってもらおうか。

 

 

沓型鉢 X ガステリア「ピランシー」

 

長いこと窯出ししてから部屋の片隅に放置されていたひしゃげた沓型鉢を突如、思い出して引っ張り出してきた。おまえさん、出番が来たぞ、待たせたね。

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この細長い形状はピランシーの形状と幅寸法にちょうど良い。下の空いたスペースから水を注ぎやすいのも良い。

 

鉢の横筋が入った上部は無釉の焼締め、下部には薄く白マット釉を掛けて酸化焼成している。

 

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横から見ると、鉢にはそれなりに深さがあって根を伸ばす余地があることがわかる。完全に鉢の縁よりも葉が上になっているので、今後も葉がさらに大きくなっても対応できそうだ。

横から見ても、肉厚ぶりが魅力的なピランシー。どうせなら臥牛のような和名が欲しかった。ガステリア属の名前の由来は胃袋=ガスターのような形の花を咲かせるからだそうだ。そういえばガスター10という胃薬があったっけ。なるほど、胃と牛は連想できなくもない。そういう点では、フォーカリア属に「波」がつく和名が多いようにガステリア属は牛シリーズで揃えて欲しかった。「牛歩」とか「蝸牛」とか「霜降」とか。

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土色の陶肌はなんだかインパクトに欠ける気がしていたが、濃い緑のガステリアと合わせるとなんだか優しい色合いでこれも有りなのではないかと思っている。

なんとなく、ウミウシのような印象。

 

ガステリアは放置が肝心。気を回して直射日光に当てたり、甲斐甲斐しく水をあげてはいけない。過干渉禁物。放置気味に距離を置いて見守ること。たまに存在を忘れるぐらいに。

 

冬も屋外で過ごしてもらおう。

 

陶蟲夏草鉢 X 唐辛子

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唐辛子は陽に当たっても褪色しづらく、窓辺を鮮やかに飾ってくれている。

自画自賛の何物でも無いのだけれども、どこかの店でこの唐辛子のささった陶器鉢が売られていたら、これなら買いたいと思うかもしれないと思った。私の趣味嗜好にど真ん中だ、と。まあ、そういうものを自分で作っているわけだが。


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歩行者用信号のような同じ枝に実った赤と緑の唐辛子。

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信号のように変わっていくのが面白い。黄色に色づき、

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橙色になった。ここから紅くならないで2週間が経過した。収穫すると紅く追熟されないなんていうことはあるのか。


赤と緑のままで止まって欲しかったけれども、それは仕方がない。

窯出し 無機的と有機的な多肉鉢

焼成の窯出し連絡が入ったので、一部を窯から出してきた。

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歯車を乗せた植木鉢。金ラスター釉を全面に筆塗りして酸化焼成した。無機質なスチームパンクな雰囲気の植木鉢を一つぐらい作ってみたくなった。メタリックでそれっぽいものは作れたようだ。

歯車は時間を象徴するモチーフでサボテンのように成長の遅い植物に合うのでは無いか。

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ダリの絵画のように片方の歯車が緩やかなS字カーブを描いて溶けている。

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間一髪だった。バランスがもう少し悪かったら歯車が鉢の上から滑り落ちてしまっていた。同じものをまた作れと言われても自信がない。

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3つの歯車同士は噛み合い、釉薬で癒着しており、歯車部分を持っても鉢全体が持ち上がるほど、相互にしっかりと結合している。

この歯車の隙間から多肉植物が生えているようにしようと思っている。縦に真っ直ぐ伸びるユーフォルビアや小型柱サボテンを歯車の狭間から生えさせてみたい。一株ではなく数種類を寄せ植えにしても良さそうだ。


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もう一つがこちら。今まであまり作っていないような、有機的な造形。胞子嚢のようなものが生えている。

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上方向に3つ穴が空いている。

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最上部の縁には触手のようなニョロニョロ、ウネウネした何かを付けた。さあ、これには何を植えようか。


そもそも、この時期に植え替えても良いものか、それも含めて悩ましい。


陶虫夏草 X 野菜コラボ

ありがたいことに2週連続で日曜日は工房に来られた。工房の家庭菜園が全て刈り取られて処分されるところだったので、そのうちの捨てられる野菜で遊んでみた。

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どうだろう。唐辛子の朱色がなんとも鮮やかでハロウィンにも馴染むランタンのよう。団子虫を苗床にして生えた唐辛子ランタン。鉢単体よりも植物と組み合わさって面白味が倍増した好例だと自画自賛している。

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鬼灯が欲しくなる。それにしてもこの唐辛子の鮮やかさよ。乾燥しても色は残ってくれるだろうか。乾燥して縮んだら、鉢とのバランスはもっと良くなるかもしれない。


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こちら蠅取蜘蛛には緑と赤の唐辛子。まるで信号のようなユーモラスな組み合わせとなった。目の前にぶら下げた人参のようでもある。同じ茎から緑と赤が実るなんて不思議。そういうものなのだろうか。

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こちら、ウシアブ鉢。いや、工房の他の方はみんな、「ヤゴですか」と言う。やはり水面から現れるようなのはヤゴだろうな。ウシアブに半水棲の種がいるとは聞かない。ヤゴということにしよう。

これには爽やかにオクラの花を挿してみた。オクラの花は咲いてもキレイ。

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トルコ青釉はその鮮やかさで虫のアクの強さを遠目には中和してくれているように思う。枝モノを挿すと悪くない。

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蚕には枝実りのピーマン。怪奇な植物に寄生された雰囲気が出ている。陶虫夏草鉢に野菜なんて、合わなそうで合わせると存外に面白い。

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作業中、こうして使われていない机に一日、飾らせてもらった。遠目にも唐辛子の鮮やかな朱色が目に楽しい。


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手慰みにへんてこな山羊鉢を2つ即興で作ってみた。片方は裃を着せ、もう片方は風船のように膨らんだ塊に頭と前脚が出ている。もちろん背中には穴があり、水抜き穴も開け、中は空洞で多肉植物を植え込めるように作っている。

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もう、これは何かと聞かれても見ての通り、としか言いようがない。

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還元落とし焼成に向けて、鉄分の多い赤4号土でいくつか水挽きしてみた。吊るすタイプの鉢を複数、作ってみたい。

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削って組み立てる予定。

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酸化焼成 窯出し

 

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次に使いたい人がいるので、窯出ししてくださいとの連絡を受けて急遽、仕事終わりに窯出しした。今回も小窯は自分の作品だけで焼かせてもらえた。癒着も破損もない、恙無い本焼成だった。

 

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まずはある意味、自分の中で確立したシリーズの陶虫夏草「団子虫鉢」。もう大きく失敗することはないし、予想を外すこともない。

 

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何を植えようかね。ヒョロヒョロと長いものか、小さなセダムか。

 

 

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陶虫夏草「蠅取蜘蛛鉢」。

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こちらも茎が長く暴れる銘月のようなエケベリアが合いそう。

 

 

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お白様、お蚕様。また触覚が折れてしまった。未だに触覚が完全な鉢を作れていない。

 

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植込み穴も大きめに作っているので、何か変わった種類の多肉植物を植えたい。何を植えようかね。黒法師でも良いかもしれない。

 

黄金虫、兜虫、象虫、芋虫を次に作りたい。想像通りに出来あがるのは、ささやかで、じんわりとした満足感が得られる。

 

 

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今回の実験的創作、ウシアブ鉢。水紋にトルコ青をムラのあるままに塗ったが、どうだろうか。存在感のアクの強さがそれなりに出ていて、有りのような気もする。

ドブ漬けして均一な青にしたほうが良かったか。ムラがあったほうが表情があって良いがもう少しトルコ青で覆われている方が好みだ。

 

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ウシアブ本体も薄塗りなので赤土の色が透けている。

トルコ青を塗り直し、ウシアブ本体も真っ白く二度塗りして再焼成すべきか悩んでいる。造形は及第点。アクの強いドライプランツを入れるも良し、キングプロテアを挿しても鉢のアクに負けないかもしれない。

 

 

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息子との合作鉢。これに合わせる多肉植物は何だろう。オベサのような球体を載せるか。

 

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黒土にトルコ青、さらに金ラスター。これはこれで気に入ったのだけれども、派手過ぎて私の多肉植物棚に調和しないと思われる。この鉢そのものよりも、息子との合作である点が気に入っているのかもしれない。

 

 

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実験的創作その2。面白い表現が出た。明るい蛍光灯の下で見ると、黒い網目の間に紫や暗緑が複雑に現れた。

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離れた距離から見ると、黒にしか見えない。太陽光の下でどう見えるだろうか。

 

面白い実験結果だったけれども、私の求めている鉢のイメージではないのだよな。何を植えたら良いのか想像が湧きづらい。お決まりの常盤忍を植えたら渋くなるだろうか。

 

 

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日本酒を飲むための酒盃。形はキレイに作れたのだがな。色が違う。違う。

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こちらも、微妙。実用に使うことはできるけれど、愛用するに至るかは疑問。自作だというだけで、店で見かけたら買いたいと思えるレベルではない。

 

 

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双頭山羊鉢。もう少し白をしっかりと載せたかった。これは再焼成すべきかね。

 

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やはり、しっかりと白いほうが良いなあ。土肌を透けさせるなら、赤土ではなく黒土に限る。よし、焼き直し。

 

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根上がりの硬葉ハオルチアの群生株を載せたい。二回目とはいえ、油断せずに慎重に台を付けて焼き直そう。

 

総合的に55点というところか。歩留まりが悪い。特に実験的試みは失敗の方が多いけれども、失敗を恐れずガラクタの山を踏み越えていきたい。

久しぶりに作陶

10月は一度も作陶できず。久しぶりに作陶した。


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双頭山羊鉢の素焼きには体軀をマグネシヤマットを筆塗り、角には金ラスター釉薬を筆塗り。

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あまり頑丈そうな鉢ではないので風で倒れそうな屋外ではなく根上がり気味にハオルチアを植えて室内窓際に飾りたい。


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何かサボテンを植えようかね。彩度の低い釉薬で遊んでみたい。鎬の中に飴釉を入れ、マンガン窯変釉を掛けてみようか。フェロカクタス「日の出丸」を納めようか。


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謎な植木鉢も作ってしまった。風船のように膨らんだ山羊。

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瞳を山羊独特の楕円の瞳にしてみた。可愛らしく作るのを無意識に拒絶してしまう。


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焼成待ちの作品がだいぶ増えてきた。陶虫夏草3鉢、山羊2鉢。その他、実験体が無数。

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そして異形な鉢が増えてきた。子供と作った暇つぶしの不本意な鉢は始末に困るのだよな。

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小窯で酸化焼成。左上の空間が余ってしまった。中途半端な高さの鉢が紛れているとこのような非効率となる。残念。


来年2月には大窯で「還元落とし」焼成をするらしい。冷却時にゆっくりと時間をかけて還元をかけることで土の鉄分が燻されるとか。是非やってみたい。その為にはもっと素直な形の器を焼かないと。


次回は是非、鉄分の多い赤4号土で還元落とし焼成用の水挽きをしよう。外見のスッキリした鉢をいくつか作りたい。