烏丸半島の蓮の群生

身近にあるものには目を向けず十和田湖に行きたい、礼文島に行きたいと遠くばかりが魅力的に思えて我ながらしょうもない。身近な良いものを楽しまねばもったいない。そう思い立って滋賀県草津駅から始発バスに乗り換えて琵琶湖畔の烏丸半島へ行ってきた。



圧巻だった。



遥か遠方まで蓮が咲き乱れる。両手で抱えるほどに大きく見事な華だから遠くにあっても目を引く。7月末から8月にかけてが最盛期らしく、しかも午後には華が開ききってしまうので早朝のうちが良い。そんな蓮だから朝に強いご老人方が蓮の群生と同じぐらいの写真愛好家の群生を作っていた。頑丈な三脚にロケットランチャーのような望遠レンズを乗せて撮っている。「良い機材があれば良い写真を撮れるわけではない。ああ、でもあんな望遠レンズがあったらなあ」と立派な機材を羨みながらのんびりと撮影に興じた。


水生植物公園水の森では象鼻杯の催しがあった。蓮を茎の途中から切り落とし、葉の中央に空けた穴から注いで茎を伝わる日本酒を飲む。所謂「蓮酒」というやつだ。茎を通る間に蓮の香りがつくだけでなく、蓮の滋養成分が溶け込むので健康長寿に効があり暑気払いの行事となっているそうだ。茎は蓮根そのままで切断面を見ると大小の空洞が通っている。葉の中央をナイフでえぐると簡単に飲めるようになる。白いテントの下で行列を作り順番に飲んでいくのでゆっくり味わう余裕などない。注いだ酒をそのままで飲むことはできなかったので茎を通すことでどれだけ風味が変わったのかはわからず。




来年は自分の庭に大きな水甕を置いて蓮を育ててみたい。葉を手折ってのんびりとチビチビと好きな日本酒の銘柄の象鼻杯を楽しみたい。そんなわけで種を10個ほど160円で買ってきた。播き時は5,6月だそうだ。


ここではオオオニバスも見ることができる。子供ぐらいなら乗れるというのだから驚きだ。葉裏は立体的な網目構造になっており、水生でありながら水面上で独占的に日光を浴びようという貪欲さが感じられる。