天智天皇陵

歴史に相当含蓄がある人、天皇陵を訪れて回るつもりの人、想像力豊かな人にお勧めだろう。さもなくばここを楽しむのは難しい。長く続く並木は涼やかだが、他に抜けられる道はなく、宮内庁直轄の天皇陵でもある為、犬の散歩も御法度。

奥まで進んでも石の鳥居があるだけでそこより先には進めない。

中大兄皇子として藤原家の始祖である中臣鎌足と共に蘇我入鹿を討った大化の改新を起こし、後に第38代天皇として即位した天智天皇の陵である。

御陵というのは端的に言えば天皇墓所なわけだが、どうやら実際に埋葬されているかは定かではないらしい。山科に出かけた天智天皇が帰ってこず、履いていた沓が見つかったこの地に陵を造ったと扶桑略記に記されているそうだが、その信憑性にも疑問があるらしい。そもそも御陵は数多くあれど、天皇の実在性とその古墳が天皇のものであることが確かな御陵自体が非常に稀であり、他には天武持統天皇陵ぐらいしかないそうだ。

秋の田の 刈穂の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ 天智天皇