永観堂夜紅葉


洪水のような人。長蛇の列。4年前は入場するだけに並ぶほど混んではいなかったと記憶しているが、こんなにも混んでいるのは日曜の夜だからか。しかしそれでも京都の紅葉を楽しむのに永観堂ははずせない。寺の大半が4時や5時で閉まるため、食事以外に夜間に楽しめる観光名所は思いのほか少なく、短い旅行日程ならば嬉しい催しである。


人工照明に照らされた紅葉と言うのはまた別種の美しさがある。下から照らされた紅葉を葉の上面から鑑賞すると、葉の紅さが際立つように思う。葉の裏と表の組成が違うはずなので、日中に陽射しを透かせて下から見上げる紅葉と夜間に下から照らされた紅葉が違うのは合点がいく。また、日中は周りが明るい中で見ているのに対し、夜間は周囲が暗いからこそ一層、紅葉とのコントラストが強まるのも美しく見える一因かもしれない。


我が家の庭には常夜灯が灯る。その上に重なるように紅葉を植えて、年中、紅葉ライトアップを楽しめるようにすることも不可能ではない。春になったら紅葉の苗を買い足そう。


緑の苔の上に散乱する紅葉。暗闇の中にぼんやりと見える様はなんとも妖しげ。思いのほか、落ちた紅葉は乾燥するとすぐに枯れて葉先が丸まってしまうものだな。



弁財天堂の前の石橋では雅楽の演奏が行われていた。


覆いかぶさるような紅葉の枝先に一列に並ぶ。これも雅というやつか。


永観堂の紅葉の形は均整がとれている。好みの葉形の特徴は葉の裂けが深く、最も葉軸に近い葉片が他よりも小さいものだ。「うちはかえで」のような円くぼってりとしたものより、放射状で線が細い印象のものが良い。