伏見稲荷 初詣

本来は家長が年明けに氏神の社に籠る年篭りが、やがて除夜詣と元旦詣の二回に別れ、ついには単にその年の最初の参拝という意味になった初詣。昔は氏神社かその年の恵方の神社に詣でるものだったらしいが、それもうやむやになりつつ初詣が一般化したのは明治期中期以降らしい。近代化以降に大衆化した風習だとはしらなんだ。



京阪伏見稲荷駅を降りたその場から目の前を大勢に塞がれる。東京を離れて以来久しく味わっていない黒い濁流に乗って境内へと上がる。伏見稲荷は稲荷神を祀る全国約4万社の稲荷神社の総本宮とされる。初詣の人気の神社で、日本で4番目、参拝者数にして270万人弱を数えるという。ちなみに1位明治神宮、2位成田山、3位川崎大師だという。京都には八坂神社、北野天満宮上賀茂神社を初めたくさんの神社があるうえに、初詣は何も寺でも構わないそうで、それこそ東寺知恩院建仁寺などいくらでもある。なぜ伏見稲荷に人気が集中するのだろうか。




伏見稲荷は五穀豊穣の神。良い年になるよう、そして努力に見合う成果を祈願し、御札を頂いて家の神棚に供えた。



変わることのないタイムトリップに誘う朱の洞窟。





伏見稲荷の隠れた名物といえばすずめの丸焼き。この「すずめ始めました」調の張り紙が小気味良い。さすがに雀丼は無い様だったが。ところで、寒すずめという特殊なすずめがいるわけではないだろう。冬に狩られた不幸な雀。冬のほうが脂が乗っているということだろうか。しかも起源は穀物を荒す害鳥としてのすずめ退治だという。すずめの取り分も五穀豊穣を神様に祈ってやればよいものを。


一昨年まで五店あった店もいまや二店だけだという。中国が野鳥の輸出規制をし始めた上に、日本国内においては市街緑地の減少と雀猟師の減少により雀が確保できないのだそうだ。レアアースよろしくレアスズメ問題。逆手にとって国産を謳うが中国産の2倍の仕入れ値だというし。しかし人の手で育てられない野鳥に日本品質も中国品質も関係あるのだろうか。小生の好みは焼雀ではなく麻雀。こちらは明瞭に中国起源。