ままならぬ冴えない日常から抜け出す為に、あるいは今までの自分を変えるために一発逆転のセカンドチャンスを夢見る人達。
ストーリーはなんてことない。銀行強盗とそれを取り巻く人間模様。銀行強盗をやり遂げ、主人公だけハッピーエンドで何か騙されたかのよう。
この街で銀行強盗は親子で継がれるありふれた稼業だという導入で始まり、内容は犯罪賛美ともとれる内容だがタウンの人々の多くは善良であると釈明し、この映画をボストンの人達に捧げるといったメッセージで終わる。
それでも人物描写が深く、次第に主人公の強盗の成功を祈るまで感情移入していく。わかってはいてもやめられない、抜け出せない。欲が強く意思の弱い、つまり自分とさほどかわらない人達の群像。アクションシーンではその迫力にハラハラする。
監督の力量ということか。へぼな監督が撮れば駄作に終わりそうな物語だと思う。主演、脚本、監督ともにベン・アフレック。「パールハーバー」や「デアデビル」のような映画に俳優として出るのはやめて今後は脚本監督作品を増やしてほしい。幼馴染のマット・デイモンとの今も続く親友関係は世の中に少ない、虚飾のない希有なもののように思う。
彼らは自分好みの映画を創ってくれそうな人達で次回を楽しみにしている。