リトル比良登山

冬から若住職とは比良に登る計画をしていたのだが、結局延び延びになって初秋になってしまった。以前、他の山に登った若住職の息子に劇団で俳優をやっている友人と登ることになっていたのだが、高野山曼荼羅を描いて収めたほか、東寺五重塔の修復にも携わったという若い女性、それから若住職の禅寺に美大の卒業制作の白衣観音図を寄贈し、今は扇屋で絵付けをしている仏画描きの女性も山に登りたいというのでお誘いした。仏画女子、あるいは仏画ールと勝手に名付けさせて頂いた才能溢れる二十代女性陣である。


仏ガールを山ガールデビューさせる。そのしょうもないフレーズを達成したいだけで気分が盛り上がっていたのだが、そんな計画に若住職は、彼女らは基本的に室内で絵筆を握っているばかりだから登山なんて無理じゃないかと強く懸念されていた。白坂までが精々でオーム岩なんて到底無理だろうと。



朝、集合すると扇描きの子は買ったばかりのゴアテックスの本格的な登山靴を履いてきた。気合が入っている。これならオーム岩まで登れるのではないかと期待は高まる。



かつては岳観音堂があり、そこまでは石段が続いている。「弁慶の切石」と呼ばれる巨岩の脇を登る。



腰ほどの丈のある羊歯の密生地を搔き分けるように進んでいく。今回お供につれてきたマンゴーは羊歯の下に隠れてもはや見えない。



時折、ロープを頼りに登るような岩場もある。そんな難所もマンゴーは既に慣れ、鹿が駆けるように上がっていく。



呻き、息を切らし、弱音を吐き始め、それすらも聞こえなくなった頃に漸くオーム岩に到着。蛇谷の北稜を一望できる絶景だった。この瞬間を最大化する為に登っている最中の苦痛はあると思う。遠くから眺めたら険しくてうんざりするような山でも、少しづつ歩んで行けばやがては着く。



前日から準備して作ってくれたというお弁当。卵焼きにタコのウインナーに。。。まるで若い学生カップルがピクニック先で広げる青春真っ只中弁当。小生らおっさんが頂くのは憚られたが美味しく頂戴した。もう一人の方も色々なサンドイッチを作って下さって、オレンジピールが丸ごと挟まれたデザートのようなサンドイッチを頂戴した。仏画女子は女子力の高さを遺憾なく見せつけてくれた。工房だけでなく厨房でもいけるらしい。



09:10大炊神社先の登山口より登攀開始
09:30賽の河原
10:10白坂到着
11:05白坂出発
12:10岳観音堂跡
12:50オーム岩到着し昼食
13:40オーム岩出発下山開始
15:00大炊神社帰還
2万4000歩、歩行距離17km。赤いテープが貼ってあり、道に迷う心配もなく歩ける、初心者向けの起伏や変化に富んだ登山コースだった。若住職親子は北小松から一泊テントを張りながら近江高島まで歩いて来られた。そのうちそちらのコースも歩いてみたい。