大津祭

高山祭を思い起こさせる滋賀県大津の祭。宵山と巡幸で構成されており、小規模な祇園祭のよう。

十三基もの鉾が緑の並木の中央通りに二列に並ぶ姿は見事。鉾が離れ離れに散在する祇園祭にはない高密度な華やかさがある。





細部を眺めるのも楽しい。動く工芸美術館さながらである。10月初旬の京都は紅葉には早く、下旬までさしたる祭もない。京都からの距離の近さ、身近で見られる迫力、祇園の山鉾に大きさでは負けるが装飾の華やかさでは引けを取らない立派さを京都観光客の取り込みに繋げることは十分可能のように思う。京都も空白期の集客の目玉に繋がる。企画演出の巧拙なのだろう。鉾鑑賞以外に楽しめる屋台や料理屋、企画などの裾野の広がりが少し寂しい。三連休にしては人も少ない。






稚児さん達の表情が晴れやかだった。眠そうな顔があったり、そういうのも良い。小さな町に息づいた豪勢な祭という風情で和んだ。そういえば葵祭時代祭も京都の行列祭では皆、苦行の行軍のような無表情か苦悶の顔で歩いているのだよな。既に観光事業に伴う義務になってしまっているきらいがある。祭は楽しくなくては。