正岡子規の仰臥漫録


収穫と豊穣の秋、ふと手に取った正岡子規の仰臥漫録を読了。結核で亡くなるまでの最期の数年の生活を記した手記なのだが、句の他に弟子とのやりとりやその日に何を食べたのかといった類いも記されている生活の手記で、子規が出版することを目的として書いたものではないので醜い感想や不満も含め素の子規の晩年の姿が見えてくる。





ある日の食事。病床の身でありながら食欲旺盛だ。あれやこれやと鱈腹食べた後にさらに梨二個とある。昔と用法は違っていたりするので二切れを指すのかともあるがやはり二玉であるらしい。健常者とて食べきれないほど。



滋養が要の結核にあってこれも子規の過酷な闘病の一側面と知った。秋山真之に軍人よりも勇猛果敢だと言わしめたその精神力でもって病を屈伏せんとしていたわけだ。


生への執念たるや。でも日本の食が美味しいからこそあそこまで果敢に食べて病と闘えたのではないかと思ったりもする。


仰臥漫録 (岩波文庫)

仰臥漫録 (岩波文庫)