出石蕎麦


城崎から出石まで南下した。目当ては蕎麦。



出石はかつては五万八千石の城下町として発展したが、今ではなんともこじんまりとした一角に観光のめぼしい全てがある。そしてその狭い街区にこれでもかと蕎麦屋が密集している。



出石名物は皿蕎麦で、一人前の蕎麦が陶器の皿、五枚に盛られて出される。蕎麦は所謂二八蕎麦。まずはつゆだけで、次に葱と山葵で、そして最後は山芋と卵を加えて食べる。



美味しいがどこにでもある美味しい蕎麦だ。それでもなんだか楽しいのはドラマタイズされた演出ゆえ。平らげる度に皿を積み重ねていくのが楽しい。陶器の厚い皿なのですぐ積み上がる。古くさいデザインも良い。出石にモダンな創作蕎麦を期待してはいないのだから。



五枚も皿を使えば非効率だし、洗い物は増えるし、什器代も嵩む。蕎麦の味とは関係ない。しかしそれは野暮というもの。