長楽館

両親が一週間ほど泊まりに来ているので、昼に前から興味のあった長楽館のフレンチへ。



明治のタバコ王にして村井財閥を築いた村井氏の別荘にして伊藤博文が命名した京都を代表する迎賓館でもある。フレンチは別段好きなほうでもなく、どちらかというと歴史的建造物の豪華な雰囲気の中で家族で食べてみたかっただけだ。村井氏は煙草王として成功した後、煙草が公営化されるにあたって莫大な補償金を得て村井銀行を開くまでの繁栄を極める。便宜を図ってもらったりとその過程にも政商ならではの黒々とした裏幕もあるのかもしれない。しかしどんなにギトギトとした欲望の結露であっても、一旦築かれた文化財は時間によって浄化され、そのものだけが残るように思う。



まずは待合室に通され、しばらくして暖炉のそばのテーブルに案内される。すぐ近くのグランドピアノからは会話に障らない音量で生演奏。給仕も皿をサーブして料理の説明をする際も、会話の流れが途切れるのを待つといった具合。最近利用したそれなりに値も張りそれなりに評判の良い料理店は会話を遮るように料理説明を始める店が多かった。やはりここのようであるべきだと思う。



料理は寒ブリ、ズワイ蟹など旬の素材をあまりバターやクリーム臭くならぬように調理してくれている。


料理もサービスも建物に負けない質で嬉しい想定外。これで四千円なら大満足。