金家の長男

金正日が亡くなった。そして大の大人が連日町中の至るところで慟哭している。
いや、これ気持ち悪いな。家では父が子に、「当局に目をつけられないように広場で哭いてくるよ。その前に哭き方がそれらしいかみてくれるか?」なんてことを言うのだろうか。「しっかり泣いてきてくださいね」なんて妻に言われて。


人間の欲を否定し利他性、平等、勤労、人民主義を標榜する社会主義体制がもっとも人間の醜さを引き出すなんてのは強烈な皮肉。経済の後退、怠慢、無学、貧困、飢餓、粛清。そんな中で特権を失えば命を失いかねない極端さだから人民を歯向かえないほどに虐げる。


金正男に興味がある。東京ディズニーランドに行くために密入国して送還された長男だ。彼はアホを装っているだけのように思う。とても自己中心的か、心優しいか。北朝鮮なんぞ継いでも革命や謀叛に怯えながら貧しい国でこそこそ不自由な贅沢を楽しむのなどわりに合わない。しかし継がない兄弟は皆、粛清される。兄弟に危険視されないようアホを装い、最高指導者の長男であるうちに国外にさっさと逃げた。国を救おうという気などさらさらない身勝手な振る舞いか。はたまた今の北朝鮮を継ぐことは少なからず粛清や弾圧を駆使せざるをえないのを受け入れられない心優しさを持ち合わせているのか。