琵琶湖バレースキー場

友人一家に誘って頂いて琵琶湖バレースキー場に行ってきた。先週末に父に話したら、俺が独身の頃もそこで滑ったと言っていたので相当古くからあるらしかった。


生憎の雨模様でスキー場の雪もベシャベシャかと思われ、さほど期待はしていなかった。都会からの集客を狙って無理矢理山上に作った人工雪のスキー場だと思っていた。


ここ、琵琶湖バレースキー場は比良山系の頂きにあり、五十人は乗れる大型ケーブルカーで千メートル以上も上がったところにゲレンデが広がっている。リフトは7、8基あり高速クワッドリフトも備えている為、短いゲレンデの長さをカバーしている。狭く短いとは言え、1400mのコースもある。中級以上の高速で大回転できるようなゲレンデはないが、京都から40分足らずで行けることを考慮するとたいしたものだ。


ゲレンデまで上がると、景色は一変して雪景色で雪質もそこまで悪くない。純粋に標高だけの話ではなく、湿った空気が比良山系にぶつかってここで雪となるらしく、一日中濃いガスに包まれ酷い時には視界は20mほど。夕方の体感温度は睫毛が凍るほどだったのでマイナス五度を下回っていたのではないか。


感心したのが設備の新しさ、快適さ。レンタルスキーはドイツ製の新しいカービングスキーやボードが揃っており、ブーツも三点以上バックルで固定できるものだ。奥伊吹のレンタルブーツは一点式の粗末なものしかなかった。


さらにレストランは食堂だけでなくビュッフェレストランもあり、1500円で食べ放題。サラダ、春雨が取り放題で若鶏のハーブ焼やら、味が予想以上に美味しかった。今まで食べたスキー場のレストランで一番かもしれない。デザートには蕨餅、抹茶ケーキ、チョコレートファウンテン、アイスなど大層な充実ぶり。ここまで食事だけをしに来ている中国からの団体旅行客の一群がいた。


ここ琵琶湖バレーはアジアや中東からの観光客をもっと大規模に誘致できる可能性を秘めているように思う。雪が少なくスキーが一般的でない国の人にとって雪に触れること自体が楽しい。しかも人工屋内スキー場などではなく、雪山の景色を愛で、琵琶湖を一望できたらさぞ気持ちよかろう。ここに足りないのはスキー未経験の大人が安全に楽しめるスノースポーツだ。海外旅行先で捻挫や骨折の恐れのあるスポーツなどなかなかやりたがらないし、そもそも半日や一日でスキーは楽しめるようにはならず、海外旅行客には不向きだ。雪の斜面をゴムボートで滑るやつなどを用意したらどうか。また、外国人客にはピークをずらした時間に割引料金で食事をしてもらえばよい。そうすれば、ゲレンデも食堂も混雑することなく稼働率が上がる。嗜好が多様な観光客にとって自分の食べられるものを適量とってもらえるし、日本の様々な食材を試せるのでビュッフェ形式は外国人観光客と相性が良い。


雪山で遊んだ後は湖畔の雄琴温泉に泊まり、もう1つの日本名物を味わえる。雪山を体験してみたいだけの客にとってはスキー場に宿泊しないといけないその他多くのスキー場と違い、安上がりで都合が良いのでは。さらにその前後には敦賀や金澤で寿司、京都で観光、大阪で買い物とコンパクトに多様な体験ができる。


スキー好きのオーストラリア人がこぞってニセコスキー場を訪れるように、雪に触れてみたい外国人観光客を一手に集めるスキー場になれる可能性がある。見渡せばスノースポーツが可能な雪山がある国はアジアに殆どない。中国、インド、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシアなどの富裕層や華僑をターゲットに京都から40分という立地の良さを活かしてはいかがか。