東山 デゴイチ


祇園四条の新門前通りにある鉄男と鉄子垂涎のジオラマカフェ&バー。自分自身にその趣味がなくても、何かに特化した趣味の店というのは新世界で面白い。



よくできたジオラマが広大な店内に広がる。



鳥居の前に線路ってな設定には無理があるが。



男性店員は車掌、女性店員は添乗員の制服を着てもてなしてくれる。なんでもHOゲージという種類の鉄道模型線路が6本敷かれており、自分の列車模型を持ち込み可能なのだそうだ。



自らの列車模型を走らせるもよし、店備え付けのCCDカメラ搭載列車を運転して列車からの風景を眺めるもよし。



自分の列車模型を持ち込んで非常にディープな鉄道談義をしている二人組もいたが、女性同士で来ていたり、母息子で遊びに来ていたりと気兼ねせずに入れる雰囲気がある。雑誌も置かれており、BRUTASの鉄道特集や週刊鉄道雑誌などで普段接することのない世界を垣間見ることができる。



カウンター席の七席が「予約」で占められていた。鉄道好きなサークル仲間でも来るのかと思ったのだが、5時半を過ぎるとちらほらと若い男が4人ほどやってきて、一列に並んだ席に隣り合うことなく飛び飛びに座った。会話が弾むわけでもなく、お互いにさほど話もせずジオラマを携帯電話で撮影するなどしている。不思議な客だと思って眺めていたところへ、女性が3人やってきた。どうやら合コンだったらしい。


合コン。なのに一列のカウンター席。既に男性は座っており、間、間に空いた席に挟まるように座るのは後から来た女性からしたら抵抗があるだろう。女性は誰も座ろうとしない。淀んだ空気を感じ取ったのか、男の一人が奥のテーブルに移ることを提案。ふと我に返ったように「そうだよね、合コンだもの」という声にならぬ声が聞こえた気がする。


男の一人が名残惜しそうにジオラマに視線を最後まで残しながら席を立って行った。テーブル席に移ったら折角のジオラマが観られないじゃないか、とでも言いたげに。どうやら彼が今日の店を選んだらしい。合コンで一列カウンター席のジオラマカフェはそもそも無理がある。ジオラマの見えないテーブル席で彼らの会話が盛り上がることを祈りつつ我らも店を出た。



子供がいる家族にはうってつけだろうな。