上菓子作り

職場の同僚とチームビルディングの一環で午後は京都の和菓子屋で体験和菓子作りに参加した。チームの若い子の希望である。


梅のういろ、撫子の練りきり、紫陽花の金団と蔦型の干菓子を作る。青梅と紫陽花が夏の上菓子なのはわかるが、撫子は初秋ではないのか。阿以波の女将は秋の花である撫子を夏の団扇の柄に入れて涼を先取りするのだと言っていたが。


温和な齢60は越えていそうな職人さんが教えて下さった。餡なんかは既に作って用意されており、皆で成形し細工する部分を行う。職人なら包むのに40秒もかけませんが、皆さんはそんな風には出来ないと思います、と自らの技術に驕りでもない自信を覗かせたものいいが何やら心地よい。


素人でもきちんと造れることを一丁みせたろうと対抗してみたが、やはりなかなか上手くはいかない。撫子を作るにあたって均等に五当分に花弁の切り込みを入れることや、紫陽花の金団を作るのにそぼろを潰さずにかつ摘まんでも崩れない力加減でまとめるのはそう易しくはない。


とは言え、生意気を言わせてもらうと、そんな再現の出来ない水準だとも思わなかった。違和感を感じることの1つとして、手仕事だというので有り難がって細部を見てみたら意外と雑で困惑することもある。手作りの範疇で生計を立てるためには可能な限りの量産化と効率化を図るわけで、採算を度外視した真似のできない突出した品質を求めているわけではない。芸術家と職業職人の差のようなものか。


趣味でも鍛練し倍の手間隙をかけたら手仕事の量産品よりも良いものができることも多いと思っている。もちろん、素人がどう足掻こうと真似できない造型を造り出せる職人もいて、心底感心したりもするのだが。


材料が既に美味しいので細工にどう失敗しても美味しく頂けた。和菓子に至っては細工なんかよりも餡や餅をしっかり作ることのほうが難しいのだろうな。