白田 陶工房

先週、京丹波にマンゴーを遊ばせに来たついでにとある陶工房に立ち寄った。

茅葺き屋根の立派な平屋で、趣味の生活をするには最高と思える環境。




裏手の登り窯を見せていただいたのだが歩留まり率との壮絶な闘いの跡があった。自然釉で器が容赦なく棚板にくっつき、それを剥がす際に破損したものも多い。不規則な火の回りで焼く前は真円であっただろう器はどれも楕円にひしゃげている。なんだか重かったりざらざらしていたり食器皿としての機能としては疑問に思うものも多いが、よく見るにつけ不思議な魅力を感じるようになる。人見知りして初見では好感を持たなかったが接するうちにいつの間にか余人に替えがたい人になるかのように。



ギャラリーで作品も売っているのだが、おいそれと手を出せない値段。4、5寸の皿一枚で5000円を越えられると普段使いの雑器として買うのはしんどい。破損や景色がうまく出なかった膨大な仕損じ品の分も売値に価格転嫁しているのだろう。こうなると、よほど自然釉や焔の揺らぎによる景色に対して強い拘りのある、審美眼を持った客に購買層は絞られるだろう。小生には無理だ。歪んで綺麗に重ならない器も多いし食卓を傷つけかねないので、うかつに贈り物にも出来ない。

この値段で売れて生計が立てられているならば評判を確立した作家なのだろう。凄いことだ。




それにしても環境に優しい、焔の揺らぎや酸化焼成還元焼成が不規則にできる登り窯を再現できるガス窯を発明してくれないものか。そしたら深みのある器がもっと多くの人が手にできるようになると思うのだが。