紅葉庭を目指して


京都の古刹の紅葉は相変わらず素晴らしい。



しかし人の多さには辟易とする。永観堂を覗いてみたのだが黒だかりの山に断念した。南禅寺でも素晴らしく紅葉していたが、通路から入り込んで苔を踏み荒らしている観光客なんぞを目にしてしまうと気分が悪くなる。狭い通路を行列をなして進み、上を見上げて写真を撮る時間ほどしか立ち止まることができず、風情など欠片も無い。





立派な寺を埋め尽くすような紅葉の林も豪勢だけれども、静けさの中で腰かけて愛でることができないならば、むしろ自宅の広縁に腰かけてこじんまりとした庭の苔の数本の紅葉でも愛でるほうがよい。それさえも贅沢なのはわかっているけれども。


紅葉を育てよう。昨年、永観堂銀閣寺で拾った種から実生で育てている苗が1年半になった。今年の春に播いた種は無事芽吹いたのだが印度出張の間に酷暑で枯死してしまった。めげずに今年も植えてみよう。自分だけの小さな紅葉庭を目指して。