大石神社と忠臣蔵

洋館料理屋「再會」をバタバタと後にして、息子をベビーカーに乗せて目の前すぐにあることに気付いた大石神社まで足を伸ばす。山科と言えば大石内蔵助の潜伏先として有名だが、大石神社はこんなところにあったのか。


立派な石の鳥居をくぐり、砂利の坂を登ると家紋の入った提灯が並び、境内は映画の舞台のような雰囲気がある。何故か境内には柵に囲われたポニーがいて、近所の子供が野菜をやりに来ている。


ところで忠臣蔵というやつは脚色され過ぎていて実体がよくわからない。内蔵助が敵討ちを秘し、世間の目を欺く為に遊んでいたのが祇園にある茶屋「一力亭」ということになっているが、実際にその時代に祇園に万亭という茶屋はあったものの祇園は遊里としては栄えておらず、内蔵助が向かっていたのは平坦な道を南に歩いていける伏見の木挽町である可能性が高いらしい。目を欺く為と言い訳して風俗遊びしてたってのもどうだろうね。他に遊び方は有っただろうから、そういうのが嫌いではなかったんだろうよ。


京都には客寄せの創作話がいつの間にか事実かのように言われているものが案外、多い。龍馬ゆかりとされる池田屋も現存せず、今あるのは後年の作り物だと確認済みだが、刀傷なんてのがそれらしく作られていてガイドブックにも実物かのように載っている。桂小五郎が密談したと言われる料亭幾松も残念ながら、今ある建物は新しいとのこと。






忠臣蔵も討入りの日に雪が降っていたのは脚色だったりとそんな例は多く、そんな粗探しをするのは不粋ということになっている。不粋ついでにいうと、浅野内匠頭ってのは頭領としてはありえんように思う。刀を禁制区域に持ち込んでの刃傷沙汰ということは、計画犯となる。侮辱され激昂した際にたまたま手元に有った刀で斬りつけたわけではなく、事前に準備して斬りにいっていたわけだ。城内の刃傷沙汰は切腹、家取り潰しとなることには頭が回らなかったらしい。


仮に、自分がオーナーカンパニーの中堅企業に勤めているとする。三代目社長が競合中堅会社の社長に挑発され、相手社長に対して暴行障害事件を起こしたとしたらどうか。日本中を騒がせ、社長は逮捕されて実刑判決を受け、会社は非常識な企業とされて信用を失い倒産したとしたら。。。そして今更転職出来ない社員が路頭に迷い、自殺するものも出てきたとしたら。。。


とてもじゃないが、悪いのは相手社長だから仇を討とうなどとは思わない。あのボンボン社長め、なんてことしてくれたのだろう、自分の立場がわかってるのか、と思うだろう。


忠臣蔵ほどまでに「忠義」なんて綺麗事を掲げられ、吉良家が貶められていると気の毒で仕方がない。吉良家の家臣団からしたらやってられんだろうよ。


忠臣蔵を勘違い家臣の集団暴行テロの話などと言うと、言い過ぎか。



ここの桜を4月にまた観に来たいものだ。