椿


冬も常緑で日陰でも花を咲かす。そこに昔の人は特別な意味を見出したらしい。




Camellia Japonica。茶人には椿を好む人が多いらしいが、いまいち椿の良さがわからずにいる。強いて言うならば猪口咲き一輪の簡素な奴が好きだが、日陰にあるイメージと光沢のある厚ぼったい葉に親しみを持てずにいる。光を透過するアジアンタムのような葉か、榕樹のような幹を持った葉、さもなくば多肉植物の肉塊のような葉のほうが好み。もしかしたら、冬に草木が散るべき時期に散ることのない季節感の無さが好きになれない理由か。花粉が多く、花弁の上に粉っぽく散らばる様も苦手だ。



雪に閉ざされ、灰色の空に覆われた鬱々とした日々の中で、変わらず緑を保つばかりか深紅の華をつけるその有難味は雪も冬の苦労もない現代の生活からは感じられにくいのかもしれない。


しかし竹藪に咲く陽を浴びた椿の良さはわかる。そのうち椿を好きになるだろうか。



蜜蜂にとっては華の少ない時期に咲く椿は有難いものなのだろう。