朝、家を出て職場の最寄り駅に着いた段階で家に職場の机の鍵を忘れたことに気付いた。パソコンは机の中に入っている。普段は持ち帰るが、たまたま前日は置いて帰った。パソコンが無いと単なる非力な木偶の坊でしかない。しかも所持金ゼロ。財布も忘れていた。どれもこれも昨晩、バドミントンに興じて財布や鍵を運動用の服に入れてしまったからだ。
仕方なく、電車で戻る。嫁さんに電話を掛け、途中の駅まで鍵を持ってきてもらった。赤子をおぶって改札口の前で待っているのを見ると情けなくなる。迷惑を掛けた。
再度電車に乗ったら、小動物に接触したとかで30分も遅れている。再度最寄駅に着き、タクシーに乗ろうとしたら電車遅延の影響でタクシー乗り場には長い行列。結局15分待った。
タクシーの運転手は饒舌で、こんな平日に行列ができるのは珍しいねえ、今日は良い天気だよなどとこちらの返事も気にせず喋り続ける。
あれ、なんか臭いな。これは屁の臭い??
そう気付くと、いつの間にか饒舌だったタクシー運転手は沈黙していた。職場まであと数分。窓を開けると、放屁を非難しているようで気まずい。気の弱い私は息を止めた。気まずい運転手も息を止めたように沈黙。職場に着くと、すぐさまドアを目一杯開け、タクシー代を支払う。「ありがとうございました」の声はとてもか細く弱弱しかった。
立ち上がりの悪い朝。