スロバキア ガストロミー


日本でも自分で美味しいグヤーシュを作れるようになろう。そう思わせたスロバキア旅行。一応、グヤーシュはハンガリーのスープでスロバキアオリジナルではない。しかし庶民の食事として親しまれている。ローズマリーなどのハーブやガーリックの香が漂い、中には長時間煮込まれた牛肉やジャガイモが入っている。色はパプリカの赤だがさほど辛くはない。氷点下の寒空で熱々のグヤーシュに堅いパンを浸しながら食べるのは至福。


まずはタルナヴァのクリスマスマーケットの屋台から。バゲットの上に焼いて香ばしくなったもっちりチーズを載せ、さらに甘さ控えめのラズベリーコンフィを掛ける。なんとも濃厚。べっとり甘いわけではないので食べやすくて危険。



タルナヴァからポプラドへの道中、山小屋風の料理屋に立ち寄った。スロバキアに来てからは食べ物の注文は全て友人に任せることにした。木彫りの器にチーズとジャガイモを練り込んだようなものが盛られて出てきた。食感はニョッキに近い。チーズが美味いのだがとても重い。


タトラバルサムというアルコール度数が52度のリキュールを飲んだ。高級ウィスキーのような口当たりの柔らかさでハーブの香りも苦味はなくミントやらレモングラスやら食欲の湧くハーブの香り。ラトビアで買ったブラックバルサムというハーブ酒を思い出した。あれもバニラアイスクリームに掛けると、とろけるように美味かった。



朝食はチーズ攻めだった。写真に写っているのは胡桃以外は全て異なる種類のチーズ。スロバキアは塩気の強いチーズが多いらしいが、他にもあれこれとある。細いチーズを三つ編みのようにしたものは初めて見た。少し歯ごたえのある塩気のあるチーズだ。


昼飯に入った店で皆、体が冷え切っていたので大蒜スープを食べた。ブイヨン系の大蒜の香りのする汁の中にチーズがとろけて漂っている。大蒜にチーズの組み合わせはまずい訳がない。繊細な味というよりもB級グルメのようなわかりやすい美味しさ。


スロバキアオリジナルのコフォラというコーラも試すことができた。これは文句無しにペプシやコカコーラよりも美味い。目を閉じれば砂糖炭酸水でしかないコカコーラと違って様々なハーブの味の深みと広がりを感じられる。これをもう少し甘さ控え目にしたら日本でも売れると思うのだが。バーやレストランでコフラを頼むとレモンスライスを入れてくれることが多い。



アンドレイが注文したものを見てたまげた。カマンベールチーズを丸ごと焼いたモノをラズベリーソースを掛けて丸ごと一つ食べるとは。それは濃厚で甘く美味いだろうよ。食べなくても想像がつく。しかしそれは反則な食べ物だ。カロリーと脂質、糖質からして禁じ手に近い気がする。



私が食べた鶏肉をパプリカとヨーグルトで炒めたような料理はまろみのある口当たりの後から辛さが追ってきて好みの味。あっという間に食べた。こういうのを料理できるようになっておきたい。



タトラスから帰った晩はアンドレイの奥さんのルツィアが作ってくれた。鶏肉にチーズやキノコを載せてグリルにしたものも美味かった。スロバキアはチーズ好きには天国かもしれない。


ちなみにスロバキアにも日本における納豆のような存在の食べ物がある。それがこの発酵キャベツ。臭いのだが体に良いらしく、スロバキア人でも好き嫌いが分かれるのだそうだ。世界中、人間ってのは発酵食品を造りたがるものなんだね。


スロバキアでは只管、食べて飲んで、タトラス山地に行っても食べて飲んで、あとは友人とあれこれ喋るだけで終わった。