身だしなみへの期待値

フランス人はカッコつけなんだろうか。


日本の職場では比較的カジュアルな服装をしていて、研究員は白衣を着るからその下はジーンズにTシャツだったりする。そんなわけで本社パリ出張にスーツを持っていくことすら迷った。


実際に来てみるとビジネスカジュアルの人すら殆ど見かけない。人によるが毎日、ピシッとスーツにネクタイだったりする。別の郊外の研究所で会った同僚は真白なシルクのハンカチーフを胸元に挿している。いやいや、ハードル高いね。幹部のオフィスに至っては皆、こんな感じだという。


胸ハンカチーフのおしゃれさん曰く、うちのCFOはスーツはダボダボでダサイだの、シルエットがあってないだの酷い言いようだった。どこそこの部署の誰某はグッドドレッサーだなんて話がぽんぽんと出てくる。結構見られているのだな。


スーツだけでなく少し小綺麗なジャケットも持ってきて良かった。毎日同じスーツを着ることも許されない雰囲気。


毎日ネクタイをつけてくる男になぜネクタイをつけているのかと聞くと、新しい仕事に着任したばかりだからだと言う。まだ自分のことを知られていない間はネクタイを着用すべきだとの判断が生まれる力学があるわけか。

別の話では、職場によっては襟付きのビジネスシャツや革靴でないと、それ相応の扱いを受けないなんて話も聞く。欧州大陸的な階級社会文化の名残なのだろうか。


ちなみに某フランス企業はやはりフランスのなかでそれなりに国を代表する会社だという認識があるらしい。インド人の同僚曰く欧州への出張ビザの発給は一般的に面倒らしく、大抵は大使館に呼び出されて個人面談で出張の動機などを聞かれるらしい。しかし某フランスの会社名を書いて提出した今回は一切面談に呼ばれることもなく出張ビザが下りたのだそうだ。そんなフランスを代表する会社に勤めているという自負がフランス人自身も着飾る自意識につながってるかもしれない。


まあ、単純に自動車会社に勤めてる人は自動車に関心が高いのと同様な話という可能性もある。