高円寺南2丁目でまだ開店して1年も経っていない「こころみ」カフェへ。
三越の家系で、今のオーナーのご両親の時代に建てられた築80年超の元ご自宅だそうだ。名家の旧宅を利用したカフェということになるのだろうか。
普段は高円寺駅前のエステサロンを経営しておられ、不定休でこちらのカフェも始められたとのこと。美医食同源を謳っておられ、吟味した素材で食事や甘味を提供している。オーナーは76歳と言っていたか。60代そこそこに見えるのは美医食同源を心がけているからだろうか。娘さんと二人でやっていて、娘さんは美大出身でデザイン系の仕事もされていたそうだ。
玄関に入ると立派な格天井。玄関と応接間の間の壁を取り払い、そこに2卓の客席を置いているとても、こじんまりとしたカフェだ。
手巻き式の壁掛時計にランプ燭台、古びた黒箪笥、木目を残したままの白木に描かれた葡萄の絵。調度品や装飾品のどれもが日常で使ってこられた上等な道具や装飾品なのだろう。
前菜に出して頂いた蛸とチーズのマリネのようなものが絶品だった。メインのカレーは佐渡の干した玉葱スライス、天日干しトマト、チキン、生姜などとても複雑な味を楽しめるようになっており、素材が良いからか美味しい。カフェのカレーと侮れないほど手間をかけた味わい。
デザートに白桃とベリーのロゼワインゼリーに珈琲。白桃は小学生の同級生が田舎から送ってくれたものをコンポートにしたのだとか。
以上で場所の雰囲気と味を考えると1500円は安くなかろうか。
2階の貸しスペースも拝見させて頂いたのだがこちらもかなり好みの空間。まず、葡萄の蔓が縦横無尽に伸びる柵に沿った広縁のローテーブルセットが素晴らしい。こんなところで将棋を指したり、新聞を読んだりできたら気持ちが良いだろう。
床の間の障子細工も華やかな富士。欄間の松葉の意匠はこれまでに見たことのないものだった。
相当な数寄者だったのだろう。ここで会社の日帰り合宿を開くのも良いかもな。下から珈琲や食事を出していただくことも可能だそうだ。