ジブリの大博覧会

 

広告宣伝やコピーに主題を当てた展示というのが面白い。

 
背景の深慮や想いが辿れる。コピーの正論でいえば、そんな背景を説明なしに宣伝文句で伝えられないといけない。
 
ただ、どんな名コピーだろうとも、宮崎駿高畑勲の深い想いが一行の言葉で伝わりきるわけがないとも感じた。観ても伝わりきらない。言葉の説明を聞いても伝わりきらない。ましてや一行のコピーで。
 
それでも、「ナウシカ」も「トトロ」も「火垂の墓」も興行的には失敗と認めていて良い作品を作るだけではダメだと鈴木プロデューサーは学び、その後のジブリの発展の転機としていく経緯が資料で示されていく。
 
良い作品だけではダメだ。知らない人に良さをどう伝えるか。感性的な価値をどう具現化していくか。これは私個人が強い関心を持っていることでもある。

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展示は基本的に撮影は禁止だが、六本木ヒルズのシティービューという展望室に展開される空挺模型やゴリアテのようなものがある部屋は撮影自由だった。

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この模型一つだけでワクワクさせるジブリの世界観はすごい。

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もののけ姫の企画書を読んだ。その時代の鎧武者や大名などという類は脇役の脇役で、たたら場の者、棄てられた病人、手付かずの森に生けるものなど、語られることの少ないものたちを主役にしたいという熱い想いが綴られている。
 
ジブリアニメはいつだって、宮崎駿からのお仕着せだ。彼が作りたいもの、彼が大勢に見せたいものを作る。
 
消費者が好きな要素をマーケティングを駆使して積み上げ、組み合わせたものが「妖怪ウォッチ」ならば、それは造られ方が日用消費財的作り方だとも言える。それに対して消費者にアンケートを取っても出てこないが、消費者がその世界観を目の当たりにしたならば、驚き、咀嚼に戸惑い、目を輝かせるもの。一度心に入り込めば長く深く離さないもの。これはラグジュアリー用品の造られ方と言える。そういう意味でジブリ映画はラグジュアリーと言える。
 
 
余談だが、あのカフェはジブリの監修ではないような気がする。まっくろくろすけなハンバーガーは塩分過多で、酒のアテなんかよりもまだ塩辛い。素人がバンズに美味しいメンチカツを挟むだけでも、もっと美味しくなりそうな気がした。完璧主義で子供を常に念頭におく宮崎駿氏が試食していたならば認めるとは思えない。

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