風の宮殿。王宮の周りを2km近くも回廊が張り巡らされ、そこには網目の覗き窓があって宮廷の女性達が姿を見られることなく外の市井の様子を眺められたのだとか。
とはいっても宮殿に面した街並みに本当の姿があったとは思えない。検閲済みの情報のようなものだったのではないか。囚われの身には変わらず。
砂漠地帯において水は生命線。水位の大幅な変化にも対応できる良案設計だ。落ちても水だしね。しかし登りと降りの階段をそれぞれ作るだけの方が作る手間は少なく済むのに、これだけ階段を張り巡らせたのは同時に水を汲む人の混雑を考えてのことなのだろうか。
象が観光客を乗せてゆっくりと、途絶えることなく登っていく。
爽やか。茶色い景色の中にあって一際目立つ清涼感。
とても童心と空想を掻き立てる多層構造の防衛砦と宮殿の複合建築だ。
その威容にジャイ王の富と軍事力が偲ばれる。こういうものを陶器の焼締で作ってみたらよいのだろうか。
時間が許せばもう一つの丘にある要塞にも足を運びたかった。もっと人気も少なく、廃墟的な空気を纏っていそうだった。
ジャイプール王は比較的聡明な人が多く、ムガール帝国が覇権を唱えた時代にも巧みに同盟協定を取り結んで国力を保ったそうだ。
このヘタウマなガチョウの絵を見逃すわけにはいかない。