印度の美意識の原型は孔雀か。ジャイプール 市街宮殿と天体観測器ジャンタルマンタル

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水墨画のように灰色が重なる水上宮殿の景色。乾いた土地で貴重な湖の中に浮かぶ宮殿は楽園の体現なのだろう。

 

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「この門は何世紀に誰が建てた」だのと耳元で途切れることなく喋り続けようとするガイドさんに、のんびりぶらぶら見て回りたいから入口の木陰でチャイでも飲みながら休んでいてくれと暇を出す。Wikipediaで後で調べられるような知識を教えてもらいながら見るよりも、おおこれは、という景色で立ち止まってじっくりと浸りたいのだよ。

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これがラジャスタンで洗練され磨き込まれた美意識の一つの結晶。先週、食事をしたフランス人が芸術は過酷な土地でこそ花開くと言っていたっけ。いつでも果物や魚などが手に入る熱帯では簡素な美術に留まりがちなのだそうだ。寒さや暑さの過酷な地で少ない資源を争う環境で眼を見張るような執着心のある美が生まれるのだと。

 

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水に乏しい過酷な砂漠地帯を統べたラジャスタンの美術。なるほど、フランス人が言っていたことは一理あるのかもしれない。このファサードの深く複雑な緑が今回の訪問で一番の景色か。

 

 

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放射状の細かい模様が総体として一つの複雑で深みのある装飾模様となる。まさに印度孔雀が原点なのではないか。日本にも古来から周辺に印度孔雀がいたら日本美術の理想の型も変わっていたのだろうか。

 

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金の扉にもなにやら深みが感じられる。メッキのようなピカピカではなく、鈍い金。

 

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高さ27m、測定精度2秒という偏執的な世界最大の日時計があるジャンタルマンタル。

 

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巨大天体観測器群を作り上げたジャイ・シン2世という王様もいたそうだ。アンベールから平地へと遷都までしてしまったらしい。確かにあんな丘の上の要塞にこんな観測器は作れない。

 

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測定精度2秒の日時計。そこまでの精度をなぜ王様は求めたのか、と4回ぐらいガイドさんに聞いたのだが毎回録音済みの少しずれた答えが再生される感じで苦笑。王様にとってのラッキーナンバーは9だったなんて答えにはなってない。

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設計も王様によってなされたというのだから、とんだ鬼才がいたものだ。モダンアート的造形としても面白い。

 

何を作らされているかよくわからずに何度もやり直しを命じられて泣きっ面になる石工の姿が目に浮かぶ。