湯河原温泉 エクシブ湯河原離宮。外国人へのおもてなし温泉について思う。

紅葉の季節、新しくできたという会員制ホテルのエクシブ湯河原離宮へ。

 

エクシブ箱根離宮と比べると

  • 湯船に眺望、非日常感が乏しい
  • 東京から箱根よりも遠い
  • 箱根よりも周辺に観光地が乏しい
  • 箱根離宮同様、食事は美味しい
  • しかしそれ以上に車で5分先の「魚繁」が安くて絶品
  • 法人会員が泊まる部屋は風呂までの廊下がひたすら長い
  • ロビーなどに寛げるソファが少ない
  • 調度品に伝統や土地柄を感じない

 

エクシブ湯河原離宮に再訪するとしたら、魚繁に行きたくなった時かもしれない。

 

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向かう道すがら、箱根ターンパイクの大観山スカイラウンジから富士山を望む。肉眼で見ると大迫力の美しさも写真になるとそれなりなサイズ感で鎮座するだけ。ナショナルジオグラフィックの写真は素晴らしいものばかりだが、肉眼で観たら迫力も臨場感も素晴らしいのだろうな。

 

ひんやり冷たい空気に晴れた富士山は清々しい。

 

湯河原パークウェイからクネクネとした山道を下ってようやく湯河原離宮に着く。全体の印象は金と黒を基調にしたホテルに見られる高級感。直線的で、硬くて、光っていて、新築の瞬間が一番価値を持つ素材感。

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残念ながら土地形状があまりよろしくないらしく、割り当てられた3番棟は廊下を数百メートルも歩かなければならない不便さ。窓のない薄暗くムード作りされた廊下を延々と歩くのは気が滅入る。

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部屋の調度品は品が良く、アクもなく清潔感がある。しかしエクシブ箱根離宮よりも狭いし眺めも悪い。

 

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とても綺麗なんだけど、アマンや星野リゾートのようにその土地柄の文化を反映するなど思想性は感じられず、なんだか湾岸の高級タワーマンション然としている豪華さなんだよな。

 

肝心の風呂も、檜の風呂、岩風呂、壺湯、月見風呂と露天風呂も充実しているのだが、いかんせん眺望がない。視線の先は奥行きのない植栽とプラスチックの竹塀風な壁。比較対象がなければ、これでもそれなりに満足できるのかもしれないが、エクシブ箱根離宮と比べてしまうと湯河原離宮にリピートする理由に乏しい。

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エクシブ箱根離宮の三日月の湯は谷を隔てて反対側の山を丸ごと正面にかつ広角に見据える、なんとも開放感に溢れる風呂。広大さがこの箱根離宮のwebから拝借した写真では伝わらなくてもどかしい。実は湯船の先には風が止むと水面が鏡のようになる池が続いていて、月夜や樹木が鏡面反射してまるで異世界への入口のような風情になる。

 

風呂は断然、エクシブ湯河原離宮よりもエクシブ箱根離宮の方が良い。温泉を目当てに行くのならばその判断に迷いようがない。

 

空室待ちをしたが繁忙期ということもあり、1室しか取れなかった。大人5人、幼児2人添い寝で部屋代1万5千円。一人頭2000円強とバックパッカーゲストハウス並みの値段になってしまった。

 

夕食は別料金で予算は1人当たり6000円以上と高いが、室料と食事は別となっている。そのかわり近くに魚屋が兼業している「魚繁」という料理屋があり、そこでの夕食が最高に美味かった。とはいえ、名誉のために付け足すならばエクシブの朝食バイキングは大人2200円と少し割高だけれどもとても美味しく、こちらで頂く夕食も値段に見合う味だと期待される。お忍びでシックに、クラッシーにデート利用するカップルにはエクシブ湯河原離宮は利用価値は高いのかもしれない。幼児連れの私達には箱根離宮のほうがメリットが多いというだけの話だ。

 

 

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ところで、私にとっての理想的な露天風呂は何かを考えてみた。やはり開放感と臨場感に尽きる。雪を被った穂高連峰を望む湯船。見渡す限りの竹林を望む湯船。水平線を広角で望む湯船。川全幅が温泉と化した湯船。雪深い山中の湯船。そういうスケール感で日常の瑣末を置き去りにするのが温泉最大の魅力、魔力ではないか。

 

無論、だだっ広い露天風呂だけが素晴らしい訳じゃない。法師温泉のように総木造の湯屋で玉砂利の風呂底から直接湧き出る温泉。あんな臨場感もドラマチックで素敵だ。狭くとも使い込まれた町営の温泉銭湯なんかも良い。

 

こういうのが、外国人にも喜ばれる思い出に残る温泉だと思っている。