高円寺の国産紅茶専門喫茶「サルトリイバラ」

ひっそりと二階に佇む国産紅茶専門店「サルトリイバラ」に先日、再訪して、初めておこわセットを頂いた。
 

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私のような肉の塊に喜んでいるようなものにはこの店は上品すぎると感じる。おこわセットも見た目では茶碗一杯で食べても腹五分目ぐらいにしかならないと懸念していた。

 

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今回、正月の疲れた胃腸に良さそうだと頼んでみた。味付けがなんとも優しく、一口一口噛み締めながら、味わいながらぼーっとする。滋味に溢れている。複雑に多層に重なった味。
 
そしておこわなので予想以上に満腹。大人の男でも大盛り無料でも敢えて大盛りにするほどでもない腹具合ならば十分すぎる量。別にビーガンにするほどの信仰上の矜持も拘りもないけれども、お腹に優しい美味しい菜食を求めている時にぴったりなお店。
 
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紅茶は小田原の紅茶のセカンドフラッシュのものを選んで頂いた。深みと渋みも備えて男性に好まれるとのこと。なるほど、美味い。

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このお店の磁器のカップは店の印象と合って繊細で華奢で優雅。

 
本を読みに
独りで静かに物思いに
お夜食を食べに
 
 
 
前回
 
高円寺駅前にほど近い、パル商店街からエトワール通り商店街に入ってすぐの路地のマンション2階。店内を確認してから入る客は皆無であろう奥まった立地に新しくできた店。

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日本国産紅茶の専門喫茶店「サルトリイバラ」。昨今、日本国産の紅茶は英国でも受賞するほど品質が高まっているのだという。戦前戦後のかつては日本の輸出品だったこともあるという。そんな脚光を浴び始めた国産紅茶、花茶に光をあてる店。

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店内は緑を基調に額絵、ガラス什器、異形の植物の種など静的なオブジェが置かれたシンプルな内装。クラシックが流れ、振り子時計の刻む音も大きい。大きな音が流れているのに静かに感じさせる空間。これは外のパチンコ屋や往来の喧騒を消す工夫だろうか。

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12月の年末に初めて来た際には小田原産のヤブキタとの掛け合わせ品種の2ndを頂いた(うろ覚え)。紅茶とは言え、緑茶の風味が感じられるもので、私としては紅茶を期待して飲む度に煎茶の風味に戸惑うシロモノだった。国産紅茶の専門店だから王道の紅茶を飲みたいと思って前回は店を後にした。

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そこで今回は「大石さんの対馬紅茶 べにふうき」 を頂いた。「甘い花香にしっかりとしたコクの深さ」と説明が付されている。メニューの中で最も紅茶の味わいがしっかりとしているとのことだったが、なるほど、紅茶の苦味が勝る一歩手前というか、これぞ紅茶抽出汁と言わんばかりの強い味わい。美味い。家では自分では淹れられない味だと思う。

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熟成ラム酒ケーキを摘みながら、本を読みながら、2時間ほど過ごさせてもらった。
 
紅茶は大きなガラスの急須で提供され、出される小さなカップだと5、6杯はお代わりができる。ポットウォーマーで包むので冬でも温かいまま長く楽しめる。
 
紅茶は750〜850円。自宅でもマリアージュフレールを愛飲するほどに紅茶好きではあるが、そんな自分にも安くはない値段設定。ケーキを合わせると、お腹に溜まる食事にはならず、本当に食間のお茶休憩としての過ごし方で1300円程度してしまう。高円寺物価だとかなり高いほうではないだろうか。
 
14席の店内で土日の昼過ぎで客が私一人だけという瞬間が前回も今回もあった。友人とお喋りするよりも、一人、数人で静かにお茶を飲んで寛ぐ過ごし方を推奨しているようだ。

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私はこういう店が好きだ。オーナーの描く理想と、オーナーの好きなものを客に紹介したいという姿勢が明確な店。客層のニーズを探りながら二転三転する店よりも、好きなことを好きなようにやる語弊なく言えばオーナーの独善に溢れた店のほうが好きだ。自分の好きな世界観をどうぞ愉しんでいって下さい、と。

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往来の目に触れづらく一見客は期待しにくい。南仏アンティーク調のお洒落な内装の店としてはすぐ目と鼻の先に「シェパーズパース」という1階路面カフェがあり、一人で本を読む空間としては「R座読書房」がある街区だ。ネットや口コミでの宣伝もあまり積極的な印象を受けない。
 
無農薬栽培で作り手の見える国産紅茶。美味しい紅茶の価値のわかる人に応えられる店のように思う。私には味わい尽くせない。足繁く通う店にはならないくらいわたしには少し敷居が高いのだが、たまに来て落ち着いた雰囲気の中で美味しい紅茶を飲みたい。狭い範囲の高円寺住人が頻繁に行く店ではなさそうなので、この店が広く知られ、支えられ、残っていってほしいと願う次第。
 
夜は良酒有り。お腹に優しい「おこわ」のお夜食もあるとのこと。
 
こういう、専門色と独自の世界観の強い店の経営ノウハウに興味がある。
 
水曜定休日
日月火12:00〜22:00
木金土12:00〜23:00
この手のお店にしては遅くまでやっているのも嬉しい。