人生に成功したあとに涙する味?「ニューバーグ」

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高円寺北口、俗称ピンサロ通りと呼ばれるそのピンサロに挟まれて「ニューバーグ」がある。創業はなんと1969年。来年で50年とはなかなかだ。

 

庚申通りに昨年末開店したカレー屋「青藍」の前にはMASHというニューバーグの姉妹店があって多くの人に愛されていたようだが25年の歴史に幕を閉じてしまった。

 

もはやあのハンバーグの味を楽しめるのはニューバーグしか残されていない。

 

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この手の店はどうしても偏向的な評価をしてしまう。正直に言うと、美味しいかと聞かれると答えに窮する。問いに対する答えになっていないが、私の答えは「好き」だ。

 

高円寺という街は戦中にも東京の東側に比べたら焼けておらず、中野に士官学校があったからか軍属やその遺族が運営していたアパートやらも多いと聞く。大規模開発がさほどなされてないので狭い路地に面した再建築不可の古いアパートも多い。

 

共同トイレ、共同風呂。下宿。〇〇荘。月3万円。4万円。

 

必然か、駆け出しの芸人、ミュージシャンや役者の卵なんかが多く集まった土地柄だ。

さほどお金に余裕のない時代を高円寺で過ごした人はそれなりにいるのだろう。そんな人達を揺籃してくれる安い飲食店も未だに多い。その一つがここ「ニューバーグ」だと思う。

 

そのうち売れ出して、街を出て、さらに成功して、結婚して、いつしか高円寺のことを忘れ、子供も巣立ち、年老いて、自分も一線から退く。一食数万円の美食にも感動がなくなり、心が乾いた頃にまた食べて、ああ、懐かしいと涙する。なんだか「美味しんぼ」のエピソードにありそうな話だ。

 

そんな力と個性を持った味なんだと思う。

 

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メニューを変えるつもりなんてない。そんな意思の表れたプラスチックのメニュープレート。680円也。ハンバーグ1枚のセットは550円で、ダブルというのはかなり豪華トッピングなメニュー。それでもこの値段。

 

 

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最近ではあまり食べることが少なくなった食感の成型ハンバーグ。肉汁がじゅわっと出てくるような類ではない。タバスコのような色の辛いソースがかかっていて、食べ終わるまで冷めることはない。これも「美味い」ではなく「好き」なんだよな。

 

美味しいパスタを出すイタリアンがそこら中にある日本で、なかなか喫茶店のナポリタンのほうが美味しいとは言い難い。きちんとしたイタリアンのパスタの方が美味しいだろうけど、でもナポリタンも別の良さがあり食べたくなる。そんな位置づけにニューバーグのハンバーグもあるのだと思う。

 

取り敢えず、メキシカンが好き。そのうち、息子もデビューさせようかな。

 

11:00〜23:00

年中無休