フランスの陶芸術家に突撃訪問

たまたまSNSの陶芸家のグループに投稿されていた器が面白いと思って、フランス在住の陶芸家に友達申請をしてみた。

 

彼の工房の住所が南仏になっていたので、流石に会うことは叶うまいと思いつつもパリに行くことを告げると、ちょうど10日、11日にパリで2日間の教室を開くということだった。

 

270€と聞いていたので少し高すぎるし、2日間使い尽くしてしまうのは厳しいので、昼休みに顔だけ出させてもらうことにした。

 

ありがたいことに、片言の英語で意思の疎通ができた。

 

私の作品をみてもらったら、なかなか面白そうなものを愉しみながら作ってるようだね、とのこと。その通りです。良し悪しはさておき、素人ながら愉しんで作っております。

 f:id:mangokyoto:20120903082303j:plain

この植木鉢を指して、これは「ジョウモンみたいだね」と言ってくれた。なんと、日本の一時代の陶器の様式名まで知っているとは。なんだかんだいって、こういうマニアックさや興味関心のある分野への探究心にフランス人への好感を持つ。

 

 f:id:mangokyoto:20180312221040j:plain

一番興味を持ってくれたのはマンガンを対流させた焼締に近い鉢。いいね、面白いね、と少しの間眺め、大きさはどのくらいだ、どうやって模様を出しているのだ、などと質問してくれた。

 

彼は施釉しないのが好きらしい。マットの土っぽい質感が好きなのだそう。形状としては平たい胴から縁が返っている平たい鉢。

 

本人と話してわかったのは10:00~17:00の計2日という集中講座だということ。しかも造形と削りまで準備したまだ柔らかい碗が先生によって用意されており、焼成もしてもらえるとのこと。治具を揃えてもらっている上に技法を教えてもらえるなど、もろもろを考えると270€はべらぼうに高いわけでもない。

 f:id:mangokyoto:20180313083423j:plain

参加もせずに顔を出しただけなのにテクニックを教えてくれた。なるほど。竹を削って手作りした治具を駆使しているのだな。いろいろと和文様も使用して知識も広い。

f:id:mangokyoto:20180313083351j:plain 

是非、彼の流儀に習って青海波紋の鉢を作ってみたい。焼締も良いけど、陰影のある立体的な文様の鉢なので辰砂や青磁も綺麗に出来上がると思うのだよな。

 f:id:mangokyoto:20180313083318j:plain

最後に、パリの注文主に引き渡す予定だという作品も見せてくれた。幾何学的で美麗。次元が違う。この水準の鉢を作り込むとなると造形と彫り込みに2日間は掛かるという。怖くて値段を聞けなかった。

 

そういえば、京都の楽家当主、10代目吉左衛門がフランスに滞在時にフランスの土を使って楽茶碗を焼いていてこれがまた素晴らしいなんて話もした。

 

趣味を通じた国をまたがる繋がりは嬉しい。自分の興味関心のある世界に広げていくためにも、息子には英語だけは習得してほしい。習得できる環境を与えたい。フランスでの陶芸家との出会いにとっても嬉しくなりながら、そんなことを思った。

 

いつか私の代名詞となるような作風や技法を作り出せたら幸せなのだが。冬虫夏草か鹿か。私にしか出せない色の釉薬なんてものも開発したい。はよ、会社を辞めたい。