「Darkest Hour ウィンストンチャーチル ヒトラーから世界を救った男 」☆☆☆☆
「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri スリー ビルボード」 ☆☆
「Blade Runner ブレードランナー2049」 ☆☆☆
「Detroit デトロイト 」☆
「American made バリー・シール アメリカを嵌めた男 」☆
「Kingsman Golden Circle」 ☆
「The shape of water シェイプオブウォーター 」☆☆
「Murder on the Orient Express オリエント急行殺人事件」 ☆☆
「Willkommen bei den Hartmanns はじめてのおもてなし」☆☆☆
「砂と霧の家」 ☆☆
「Darkest Hour ウィンストンチャーチル ヒトラーから世界を救った男 」☆☆☆☆
戦闘シーンは皆無だけれども政治や社内政治に少しでも苦い経験がある人には面白い映画なのではないか。
Success is not final, failure is not fatal. It is the courage to continue that counts. -Winston Churchill
「成功は最終形ではない。失敗も最終形ではない。大切なのは継続する勇気だ。」邦訳がイマイチな気がする。finalもfatalも最終形と訳していて原文の使い分けのニュアンスが死んでいる。
早速にして今年一番の映画な予感。迷い、熟考し、大局を見て、覚悟を決め、リスクを取り、信念を持って実行する。失敗した場合の責任も非も不名誉も全て背負う覚悟で。
政治や策略や力比べで違う方向を向いた人達に訴えかけ、大局を見せて目覚めさせ、束ねていくその労力たるや。嫌われることを恐れては事は成せない。
この作品を観た後に「ダンケルク」を観ると「ダンケルク」が鮮やかさを増すのではないか。そして「英国王のスピーチ」を観れば兵士の戦い、宰相の戦い、国王の戦いのダイナモ三連コンボが完成する。
ゲイリーオールドマンは20年も前からただならぬ迫力を備えた名優だと思っていたけれども、弱さも強固な決意も迫力も全て魅せたこの作品が最高最良。当然ながらアカデミー主演男優賞を受賞。体型の全く異なるオールドマンをチャーチルに変身させた日本人メイクアップアーティストはこれでアカデミー賞を受賞した。私は作品賞も本作で良かったと思っている。
「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri スリー ビルボード」 ☆☆
ゴールデングローブ賞4部門受賞という触れ込み。観た数日後にアカデミー賞も発表され、主演のフランシス・マクドーナンドが主演女優賞を受賞していた。
ちなみにウッディ・ハレルソンとサム・ロックウェルが同じ作品から二人、助演男優賞にノミネートされ、サム・ロックウェルが受賞した。演じていて気持ち良さそうな親分肌で人格者のハレルソンよりも、暗愚かで可愛そうなロックウェルの方が演じている役と本人の差が大きい、言い換えると演じた度合いが高いと言えるのだろう。
人は不完全で誤解しやすく容易に人を傷つけ、それでいて互いの痛みを知ると不思議と仇敵も許せる。赦しがテーマなのだろうけど、勘違いした義憤で過ちを犯す前にもう少し理性と節制を持てないものかね。そこにメッセージを持たせられないものか。感情のコントロールと節制は美徳だと思う今日この頃。
あの終わり方はよくわからんわ。
Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
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「Blade Runner ブレードランナー2049」 ☆☆☆
正直な感想としては、実写版ゴーストインザシェルよりも原作やアニメの攻殻機動隊の世界観を表現できている。
自分は人間なのか人造人間なのか。
自分の記憶は現実だったのか捏造記憶なのか。
人造人間の権利はどこまで護られるべきなのか。
人造人間にどのような希望が生まれるのか。救われるのか。
荒涼とした空気感、スタイリッシュな映像。攻殻機動隊ファンは楽しめる作品ではないだろうか。ちなみにアカデミー視覚効果賞と撮影賞を受賞というのも納得。
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「Detroit デトロイト 」☆
黒人への根強い偏見と不幸な事件があったのはわかったが、なんだかモヤモヤとドス黒い気持ちになって終わった。
デトロイトと言えば自動車産業で栄え、今やラストベルト(錆びた一帯)と呼ばれるほどに廃れて貧困に喘ぐ白人が多く住む地帯だ。トランプ大統領の当選の原動力になったと言われている。
今も昔も現実を直視できずに拗らせた白人が多く住む地域なのだな、という印象(偏見?)が見終わった後に強まった。
黒人だからというだけで白人が憂さ晴らしに暴行したり侮辱することが許された時代も、閉鎖された旧式設備の鉄鋼業と自動車産業工場が再稼働する時代も恐らく戻っては来ない。にもかかわらず耳障りの良い妄想を信じさせてくれる扇動者を生み出してしまう。
「American made バリー・シール アメリカを嵌めた男 」☆
トム・クルーズ主演。アメリカ政府と南米ゲリラ組織、麻薬カルテルの間で運び屋として跋扈した実在の人物の映画化。
コントラという言葉を懐かしく聞いた。
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「Kingsman Golden Circle」 ☆
どことなくクエンティンタランティーノ的漫画っぽさと悪趣味さが滲み出ている映画。
某北欧の王女がヤク漬けって侮辱でしょう。
「Willkommen bei den Hartmanns はじめてのおもてなし」☆☆☆
予想外の良作。ドイツで大ヒットした作品。メルケル首相主導のシリアやアフリカ難民の大量受け入れとその後の反発や不安、排斥などの社会的背景を下地に、壊れた裕福なドイツ人家庭が難民受け入れをきっかけに修復されていく心温まるヒューマンドラマ。
個人の尊重だの、女性の独立だの、進歩的なことをあれこれ頭でっかちなことを言い連ねても、お互いに独善や利己主義に陥って感謝や思いやりの気持ちを言葉と態度に表すことができなくなっている。
右翼や国粋主義者の移民排斥などをコメディのような大袈裟な騒動に描いているが、それがいつ現実になるかもわからない。ドタバタを楽しく眺めながらも背筋に冷たいものを感じたり。
「Murder on the Orient Express オリエント急行殺人事件」 ☆☆
ケネスブラナー、ジョニーデップ、ミシェルファイファー、ペネロペクルス。監督はケネスブラナーという豪華俳優陣。
昔、東欧からイスタンブールまで20時間の列車の旅をしたことがあるけれども、あんな渓谷、実際にあるのだろうか。アガサ・クリスティの謎解きサスペンスなのに、アクション要素が加えられていて展開が早く、客に誰が犯人かと深く考えさせるサスペンスの醍醐味が全く欠如。
初老の探偵なのに全速力で走ったり、乱闘したりと若い男と互角に渡り合う戦闘能力を持たせてしまうのは世界観が台無しではないか。ダビンチコードの実写化を思い出す。
お洒落自慢の髭は髭プロテクターを付けて保護しながら寝るものだと知れたのが一番の収穫か。
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「The shape of water シェイプオブウォーター 」☆☆
モーディのサリー・ホーキンスが主演だということにびっくり。ここ最近、個性的な容姿と演技で一気にスターダムに躍り出た印象。それにしても、幸薄い少し不健康そうな女性を演じさせたらピカイチだ。妙な生々しいエピソードがシュール。
ギレルモ・デル・トロ監督のファンタジー映画ながらもアカデミー作品賞を取った。私はダーケストアワーが作品賞をとるのではないかと思っていたけれども、フランス人の友人はダーケストアワーはつまらなかったと言っていたし、受け取り方は本当に人それぞれなのだとつくづく思う。
感動大作ではないし、魚人がどんな性格や生い立ちかもまったく不明のまま終わったけれども幻想的な童話であり夢物語だった。イライザの首の傷はてっきり治るのかと思ってたが、なるほど。
魚人との情事。再縫合されたマスタードのついた指。ドン引きするエロ、グロな描写がちらほら。単純なファンタジーに留めない。
魚人の瞼が瞬きの後に少し遅れて眼球面を拭うように動くのがとても拘りのある作り込みに思えた。体型的にはとっても「人が中に入っています」なのだけれども。
「砂と霧の家」 ☆☆
美しい感動の悲劇のような触れ込みだけど、一歩下がって冷静に整理すると美貌があるというだけの主人公の女性が周囲を不幸に陥れていく。
ジェニファーコネリーはこんなに美しい人だったっけ。この人の美貌と演技力で騙されて大層な悲劇のように思わされている。
浅薄で独善的で辛抱のないそれぞれの登場人物が相乗的に悲劇を巻き起こしていく。しかし、中心にいる主人公が最後に生き残るその不条理さ。
自分の旦那に逃げられたのを実の母親に誤魔化す為に一連の騒動。
未納税の咎で家を差し押さえに遭うのも、納税免除受理の確認を怠ったから。届いた郵便物を無視し続けた自業自得。
人の旦那を奪っておいて、正当な支払いをして購入したイラン人大佐を泥棒呼ばわり。
弁護士の忠告を無視して勝手に押しかける浅薄さ、辛抱の無さ。
繰り返し、恩を仇で返しにいくメンタルがすごい。しまいには人の手に渡った家で自殺を試みる。
「君の名前で僕を呼んで」
「レディバード」
ここら辺の映画も観たい。