高円寺で夜だけ開かれる看板のない二階のバー。
シンプルだけど見たことのない酒がずらり。しかもチャージ無し。とどめに高円寺価格。他の街ならば一杯1000円はするであろう店の雰囲気と落ち着き、酒の味。それが700円で飲めるイメージか。
気泡の全く含まれない透明な氷の塊が入ると空間が歪んだように見える。それをさらに灯りにかざすと幻想的。アクアヴィタエ、生命の水と呼んだ先人の気持ちがわかるような気がする。
バーボン美味い。旨い。まったりとろける柔らかさに樽の香り。眺めていても芸術的な琥珀色。
カウンター席がたった5席ほどの静かな静かなバー。薄利多売センベロの街、高円寺に似つかわしくないオシャレで落ち着いて静かに飲めるバー。値段の安さという一番客が有難い要素だけ高円寺式だなんて、店として大丈夫か。
そんな看板の無いバーで開かれる月に一度の夜の花屋。
たまたまめぐり逢えた夜にこの染められた鶏頭を一本買った。
明るい陽射しの下で見ると、ビロードのようで昆虫で言うならば斑猫や玉蟲の甲皮のような構造色のように煌めく。青緑色は染めた色だけれども、この光沢質は人工的に付与できるものではない。鶏頭がもともと備えていた肌質。それを引き出したこの染色は素晴らしい発想だと思う。
このヒダヒダは東南アジアの珊瑚礁の海で見たシャコ貝のようでもある。
窓際に逆さに吊るしている。うまくドライフラワーになってくれるだろうか。