病床の犬友 自分が死んだらを想像してみる

突如悪寒と頭痛に襲われて倒れた。朦朧としながら電話会議を終えて寝る。

 

体温計を図ると39.3℃。ああ、こりゃ明日はダメだわと早々に諦めがつく。金曜日だったのが救いだ。胸が締め付けられる苦しさと関節の痛みと。蝦のように背を丸め、呻く。ウー、ウーと声を出すとなんとなく痛みが和らぐのだよな。

原因と考えられるのは

  • 仕事のストレス
  • 賞味期限が3日過ぎて食べた土産の信玄餅
  • 流行りのウイルス

どれも体力気力があれば問題はなかったのかもしれない。意識の上では問題ないのに身体がついてこない状態とはこういうものなのだろうか。

 

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氷(保冷剤のこと)を持ってったらいいよ

ゆっくり寝なきゃダメだよ

午後も治らなかったらアイスクリームを食べてもいいよ

お医者さんに行って歯磨きの絵本を読んで待ったらいいよ

息子達があれこれ助言をしてくれる。考えてみたら、彼らの方が経験豊富なのだな。

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本を読む良い機会だとも思ったが頭痛で本も読めない。テレビをつけてもやかましく感じる。案外、何もできない。

 

ひきつるように胸が苦しくなるのは初めての経験だった。何か重大な疾患である可能性もあるし、早急に適切な薬を飲んだ方が良い事態かもしれない。医者に診てもらった方が良いことは頭でわかっていても、とてもではないが自転車に乗って内科医に行く気力が起きない。タクシーを呼べばいいのかもしれないけれども、それすら煩わしい。

 

案外、こうやって手遅れになるものなのかもしれない。合理性で考えたらリスク管理としては最悪の事態に備えて多少無理してでも医者に診てもらってただ薬を飲んで安静に過ごすだけでよいのか緊急対処が必要なのかを確認すべき。寝れば治るだろうというのは運任せで無責任とも言える。

 

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何もすることがないので、単に風邪で済まなかった場合のリスクシナリオを検討してみる

入院する事態になったらまあ、傷病休暇を取るか休職してから復帰するだけの話だ。長引いて職を変えなくてはならなくなってもそれまでの話だ。家族にとっては妻は大変だろうが長期出張に行っている状態とさして変わりない。

 

仮に長期休職の挙句、今よりも収入の低い職に変わるとしてもそもそも贅沢な暮らしをしていないしもう1、2段階生活水準を落とせる自信はある。外食を一切やめ無駄な衝動買いも禁じたらよい。自炊も楽しめる。酒も断てられるし、月に1、2本ほど4合瓶を買って自宅でちびちび飲む程度でそもそも満足している。陶芸を止めるのは気持ちの上で残念だな。月に6000円の作陶費は維持したい。

 

あっさり、ぽっくりと逝ってしまったらどうなるものだろうか。

仕事はどうでもよい。機能しなくなった歯車の替えは遅かれ早かれ見つかる。

家族も遺族基礎年金と厚生遺族年金に加えて妻が働きに出れば経済的にはやっていける。高円寺ならば都内の大学には下宿せずに通えるだろう。授業料の高い私立は難しいが、勉強が好きで優秀ならば奨学金を目指して欲しいし、勉強が好きでもないならば高い私立大学など必要ないと思う。

 

長男の心には深く残ってしまうかもしれない。まだ幼い次男は案外、忘れてくれるのも早くて、記憶の薄い小さい頃に亡くなった父ということにでもなるのではないか。

 

あまり始末してもらうものもない。別に隠しているエロ本があるわけでもない。私個人のものも全て捨ててもらって構わない。

 

数えてみると70近くになる多肉植物の植木鉢。これは家族では世話できないだろうな。枯らしてしまうのは忍びないので園芸好きな実家の親に好みのものだけ引き取ってもらって、残りは売っぱらって欲しい。

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気がかりなのはマンゴー殿だ。私がぽっくり逝っても妻には子供がいて、子供には妻がいて、それぞれの世界が広がっている。しかしこの犬は私への依存度が高いように思う。今も病床を一時も離れずに付き添ってくれている。私を一番心配してくれているのはもしかしたらマンゴーかもしれない。もう9歳。家族の中では順当に行けば最も早く寿命がくるはずだが、彼ばかりはきちんと看取ってあげたい。

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あれこれ考えたが、働けない程度に後遺症が残るのが一番しんどいとの結論を得た。ではあっさり死ぬのと、後遺症を負って生きるのとどちらが望ましいのか考えてみた。脳味噌と利き手一本残ってくれたら、やはり子供の成長を見守りたいし生きたい。頭が明瞭なら子供の話し相手になることも相談に乗ることもできる。我が身の不幸を嘆いて卑屈にならないメンタルを維持するのが課題か。

 

どんなことがあっても生きたくて生きれなかった人達がいることを思うと不謹慎な考えかもしれないが現時点で考えたことはこんな感じだ。後年振り返って今の考えをどう思うだろうか。

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来週から中国は1週間の休暇らしく、この土日は労働日としている企業が多いようだ。中国の同僚から、電話してよいか、この資料を確認してくれ、相談がある、と何件も連絡が来ている。さすがに勘弁してもらいたい。彼らが休暇の前に仕事を片付けるために病床の身で自分をさらに追い込んで付き合う義理もないだろう。土曜日は放置させていただくことにしていたが、結局日曜の夜に電話相談を受けることになりそうだ。

 

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ひたすら発汗して水分補給。食べるのはお粥のみ。体重が1kg落ちていた。1週間ぐらい寝込めば3kgぐらい痩せるだろうか。その場合、筋肉と脂肪はどちらが多く落ちるのだろうか。

結論としてグリーンダカラが予想外に素晴らしい。味もおいしい。昔からの贔屓でポカリスエットを飲んだが、もう少し頑張らないといけないのではないか。


丸2日寝て、医者に行く程度に熱も下がって気力も出た。心電図も胸のレントゲンも採血もすることになって嫌な予感もしたが、特に問題は見つからないとのこと。薬を処方され、養生しろとのこと。それでも明日には出社しないとならんだろうな。

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長男が命名した「なみなみ」君。杉並区の釣堀で釣った杉並在住の金魚だからだそうだ。

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次男が命名した白の出目金は「ボーノ」君。Buono。イタリア語でつけたわけではなく、アソボーノが好きだから。