台風24号は大きく実ってあとは熟すばかりの「藤稔」を全て吹き飛ばしてしまった。地面にも実は落ちていない。風に擦れて傷だらけだし間引き方が下手でスカスカな房だけれども粒は大きく育っていたので残念だ。とても残念だ。しっかりと支柱に固定して袋をかけてあげていたら耐えられただろうか。
葡萄山椒の葉を食べ尽くす勢いで終齢幼虫にまで育っていたクロアゲハ。台風前には6匹は確認していたのだが、台風後には3日待っても1匹も見なくなってしまった。あの豪雨暴風からは芋虫に逃げ場はなかったのだろうか。プラスチックの箱に避難させて土間で一晩凌がせたら無事乗り越えられたかもしれないが、あの先週の自分自身の高熱の中でそこまで世話する義理もないけれども。葉もなく幼虫もいない山椒の枝が寒々しい。
台風前後、自分が体調を崩している間に金魚も病んでいた。この金魚達はフレーク状の餌を食べるのがどうやら下手で、水底に沈んだ食べ残しの餌が水質を悪化させ、白点病を発生させていた。まだ元気に泳いでいるが鰭は溶け始めている。あと数日発見が遅かったら手遅れだったかもしれない。バクテリアが豊富なグリーンウォーターが良かれと思ったが食べ残しの餌の視認性が高い透明な水に切り替えた方が良さそうだ。
子供が名前をつけて可愛がっている手前、見捨てることはできない。ホームセンターに走り、薬浴用の薬、掃除用のスポイト、そして浮遊性の粒状の餌を買った。2000円也。
子供の遊び相手をする時間も足りず、マンゴー殿を散歩する時間も足りず、サボテンや多肉植物の植替えもできていないにも関わらず、世話をする対象をまた増やしてしまった。金魚はきちんと世話をする限り、何年も生きる。
話は変わって、連休は幼稚園の運動会だった。
- 剣道。自分で練習して手拭いを巻き、面や小手を器用につけていた。頭の後ろで蝶々結びは難しいだろうに。走り込んでの面の打ち込みも様になっていた。
- 組体操も上に乗って手を広げて立てた。途中で自分の位置を見失ってしまったがお友達に助けてもらった。全部、しっかりやりきった。
- 親子騎馬戦は肩車で走るのが怖い怖いと泣きごとを言って相手の帽子を取りにいかないので、おんぶに切り変えて走り回って逃げることに徹したら、背中から走れ走れとけしかけてきて楽しそうだった。
- 息子はクラスの中で足が遅いが、リレーだったこともありチームとして1位となり金メダルをもらえた。走るのが苦手なことは重々、自覚があるからこそ、夜は布団の中で「運動会、楽しかった」「金メダルもらったよ」と嬉しげ。
明日はバタフライの脚を練習したい、交通公園に自転車の練習をしに行きたいと意気込みを語る。得意なことも不得意なことも向上心を持って自分から練習したいと言う、その真っ直ぐさは親としてはたまらなく可愛い。
その一方で次男は学年全体の出し物で見事なボイコットを見せてくれた。しゃがみこんで全ての演技の放棄。ある意味、ハートが強い。同調圧力の全否定。
徒競走も覇気にかける振る舞い。なんだかな。
長男に比べて、次男に対しては褒めたり構ってあげたり、一緒に練習したりする時間が少ないのは事実だと思う。
もう少し「世話」をして付き添ってあげればあれこれ練習もするし、上達の楽しさも知ってもらえるのではないかと思っている。
何某かの分野で秀でた子は小さい頃から練習環境が整っていたり、親が練習の送迎の労を惜しまなかったりという背景がある場合は多い。そんな大それた水準を求めていなくとも、子供の能力の伸びは親の世話の多寡にもよるというのはしんどい現実。
台風後の爪痕やら疾病やらあれこれを復旧したり治癒したりの1週間だった。職場でも悩み相談やら世話をする仕事が多かった。
自分に、周囲の人達、動植物の世話をするキャパシティがどれだけあるのか。どう増やしていけるのか。
いやいや、まだ周囲の世話に時間を割くよりも、もっと自分自身の向上を図るべきなのではないのか。
悲鳴を上げている職場の同僚部下の仕事を肩代わりして上げたほうがよさそうだと思っている。
そうは言っても、練習したいとやる気を見せる息子の願いを無碍にして良いものか。もっと速く向上する可能性を摘み取って良いのか。
世話した結果が見えやすい長男よりも、次男にこそ寄り添ってもっと世話をすべきなのではないか。
そんなことをグダグダ、グダグダと思案している。
自らの怠惰を戒めてもっと無駄な時間を惜しんで世話をしたら、葡萄も実り、クロアゲハも羽化し、長男はさらにあれこれが上手になって自信をつけ、次男も上達していく楽しみを覚え、金魚も元気になり、多肉植物も植え替えられてまた根が育ち、庭の菊も美しく咲くのではないか。同僚部下も困難を乗り越えやすくなるのではないか。
面倒臭がり屋で楽をしたい、怠けたい性分なのだが、なかなかそうも言ってられなくなってきている。