鬱々とした時に来たくなる植物好きの天国、オザキフラワーパーク。西武新宿線の武蔵関駅から1kmというなかなか辺鄙な場所にあり、自家用車がない人にはアクセスは悪いのだが、目的地として目指すだけの価値のある店。ロードバイクで10kmばかし走って汗を流し、辿り着く。
晩秋ともなると球根が多種多様。一球98円は安くはない。島忠ならば48円だった。そのかわり種類はとても多い。チューリップの他にもクレマチスが豊富だった。
実は今回の目当ては椿。ざっと見渡しただけでも20種類はあるか。「菱唐糸」のような華やかな桃色系、白椿系、さらには紅い「友の浦」や「玉の浦」など。一重侘助、八重、獅子咲きなど花の形も様々。
「月の輪」なんて紅白の変わり品種もあった。庭先に咲いていると、珍しくて目を惹くに違いないが希少性ではなく鑑賞性で見直すと果たして自分の好みかはわからなかった。
京都の友人が、椿が好きだと言っていた。その頃は椿なんて地味な花のどこが良いのだろうか、と全く興味がなかった。葉も厚ぼったく暗い緑で華やかさがないと思っていた。ふと気付くと、自分も一回り年上の友人の当時の年齢になりつつある。四十にして魅力に気付くのが椿なのだろうか。
華やかな品種が増えているけれども、一番の目当てはこの「出雲大社藪椿」。筒咲の濃い紅。この至って潔い簡潔な形の椿の元気な苗木がなかなか手に入らない。ネットでも見つかるのだが、貧弱で小さな苗木ばかり。ここオザキフラワーパークでは背丈が30cmほどに育ち、蕾を沢山つけた株がどの品種も980円で売られている。葉も元気で茎は太く勢いがある。商業的には背丈で測られるので光量管理して徒長気味に背丈を早く伸ばして売っている株は多いと思うが、オザキフラワーパークには仕入れる苗木への品質のこだわりを感じ、信用している。
盆栽販売区画。ブルーベリーコーナー、紅葉コーナー、柑橘コーナーと何でも揃う。
こんな大きな松が2万3千円は安くないだろうか。樹形がそこまで美しくないのかもしれないが、樹齢を重ねた迫力が出ている。
トライポフォビアの人には気持ち悪く感じそうな花。名前を忘れてしまった。私の陶器鉢には合いそうなヤツだ。
店内にはドライフラワー、プランツが所狭し。博物館的な雰囲気は楽しい。
カナダのものか、40cm近い巨大松ぼっくりは値段も一個4000円と存在感があった。クリスマスツリーの根元に一つでも転がしておくだけでも雰囲気が変わるのだろうよ。
綿花が流行りらしい。
さて、店内の植物コーナーへ。ダイオウインコの置物が馴染む巨大温室。
そこらのホームセンターの植木コーナーとは背丈が違う。鬱蒼と茂るジャングル然としていて、植木も同一種があちこちに置かれていて自分の好みの株を探して歩く楽しさがある。
オザキフラワーパークがスゴイのが、滅多に見かけない種類の植物苗が手の届く値段で置かれていること。リグナムバイタは世界で最も重量が重い樹木でかつては木造船舶の建造に重宝したというもの。
樹高2mはあろうかという巨大なセローム。
気根の太さたるや。この巨大で聳えるセロームが12,000円なのは破格ではないだろうか。吹き抜けの階段廊下の脇に置いたら存在感を放ちそうだ。残念ながらそんな空間は我が家にはないけれども。
蘭コーナーも面白かった。腐敗臭フェチな蘭コレクターにはたまらない逸品。
茗荷のような色合いの蘭。
名前の思い出せないサボテン。轆轤で挽いたような曲線美。
塊根モノも見事な株が並ぶ。値段は付いていなかったが、5桁、あるいは6桁はすると思われる。根上がり株は一つの憧れでもある。
つい買ってしまったのが、こちら。アポニア・パピラケア。白蛇のような風貌。
寒さに弱そうなサボテンの冬のシェルターに使えそうなガラスドームは2400円。
外に戻る。今年から店外でお洒落なカフェレストランが営業している。今回は食べる時間がなかったが、また来たい。
全ての販売コーナーが進化し続けるオザキフラワーパーク。魅力的すぎて衝動買いしてしまうからあまり近所に無いほうが良いのかもしれない。たまに自転車で汗かくほどに走っていくのに丁度良い。