作陶備忘録 鹿頭骨の素焼き、成形、蝉脱皮鉢の釉掛け

作陶作業備忘録。

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鹿頭骨初号を素焼きする小窯に入れた。これを750℃で焼く。11月11日から2週間ほど乾燥しているから水分の面で問題はないと思うが、あとは鋳込みという技法による作りがどうなのか。外寸から想像するよりも遥かに軽いのは均一な厚さで作られているからだ。大きな陶器は重くなりがちなので、鋳込みは大物を作るのに良い解決策なのだな。

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初号を素焼きに送った後、その間に鹿頭骨二号の成形をする。外寸が同じものを作れるのは気持ちが良い。これが10個、50個となると工業的でつまらなく感じ始めるのだろうが、2個、3個と複製するのは楽しい。

鼻先はある程度は作り込んだ方が雰囲気が出ると学んだ。眼窩はもう少し小さく、眼底も作れたほうがイメージにより近づける気がする。植え込んだ後にも眼窩が空洞のように見えるように何がしかの工夫が必要だ。骨の繋ぎ目やなんかは釉薬を掛けると埋没しないよう考えないといけない。

 

二号は鉄絵でヒビや小さな孔を縁取り、辰砂を酸化焼成して、いかにも焼物だという色で作ってみようか。

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しっかり確認しなかったから眼窩の輪郭が左右で歪んでる。左のように少し出っ張って欲しいのだが、削れた箇所を盛り付けるのは難儀だ。まあ、いいか。もう、どうしようもないし。

まだ、植え込むべき植物を見つけられずにいる。なんとなく枝分かれしたユーフォルビア紅彩閣やホワイトゴーストあたりが合うように思うのだが、寸法の合う株が見つかるかどうか。


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素焼きが終わっていた蝉脱皮鉢に釉掛けをした。幼虫を「渋柿釉」、成虫本体を「白マット釉」、そして上部だけ「トルコ青結晶釉」を全て筆で塗った。狙いとしては頭頂部の平坦な部位には釉薬が流れずに厚く留まり結晶が多く析出して青緑のムラが出てくれればと思う。下部は黒くして視覚的重心が下に来るようにし、上部は白くシンプルにして背中から生える植物に視線が向くようにしたい。

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土の入る容量がけっこうある鉢だ。下部と上部がポキリと折れてしまわないか不安が残る。無事に焼き上がれば釉薬が結合を補強してくれるのではないかと思っている。


教室生徒の作陶展には土の詰まった重量物の運搬はしんどいのでドライフラワーを突っ込もうかと思う。作陶展が済んだら土を入れ、姫春星のような群生マミラリアがボコボコと湧き出ているように背中に植え付けたい。

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年に一回、焼くかどうかの還元焼成が始まった。電気窯の穴からプロパンガスの炎を吹き込み酸素を消費し尽くすことで還元焼成する。燃焼温度は酸化と還元では変わらず1230℃。その後、数日かけて自然冷却する。


4、5点ほどが入っているはずなので楽しみだ。呉須で描いたものがあるが、呉須が厚すぎて垂れるか縮れるかしてしまってそうで不安が残る。窯出しを待っている時間も、次の作陶の日までの待ち時間もじれったい。作りたいものが思いつくスピードのほうが作業進捗より圧倒的に速い。