ギメ東洋美術館は仏像が衝撃的だった。
等身大よりもさらに大きく、しかも陶仏。焼成時の歪みもなく、釉垂れもなく。3つも4つも焼成して1つ取れるかどうかという難しさだろうに、それでいてこの大きさ、造形。奇跡に近い。
数百年の昔にこんなにもデッサンの正確な写実的な表現の像が作られているなんて。
とびきりの美仏が一画に集められている。この一室だけで30分は動けなくなった。
朽ちて褪せてなお、色彩が素晴らしい。
間違いなく、白眉はこの像だろう。10世紀から11世紀の作と聞いて昏倒しそうになる。
あの時代にこれほどの作品が生み出されていたなんて。
日本では平安時代中期。日本にもこの時期に素晴らしい仏像はあるが、棒立ち姿勢のものが多くこの柔らかな姿勢は別次元な表現かと思う。
この大きさでありながら一切の欠損もなく完璧なままで残っている。
背後からも拝めるように配慮されていて素晴らしい展示。
もう眼福。来てよかったギメ東洋美術館。しかもルーブル美術館と違ってアジアからの観光客はあまり足を向けないので静かにゆっくりと鑑賞できる。貴方達の国の至宝はここにあるんだよ、と叫びたくなる。