豆鹿頭骨の窯出し。酸化焼成。
一つ目、縁に弁柄で輪郭を描き辰砂をどぶ漬けしたもの。辰砂は濃度もちょうどよく、釉剥がれすることもなく綺麗に発色してくれた。
骨らしくない色だが、せっかく陶器で作ったそれらしさがあって気に入っている。植え込む植物は合わせるのが難しいかもしれない。
二つ目はマグネシヤマットのどぶ漬け。55ボーメに濃度調整したのは濃すぎるように思えたが、実際はちょうどよかったようだ。焼き上がりのインパクトに欠けるならば上から弁柄で輪郭を描いて二度焼きしようかとも思ったが、この静かなマットな陶肌もこれはこれで良い。
裏。土を入れて植え込んだ際の水抜き穴でもあり、壁に掛ける際のワイヤーの通し穴でもある。
三つ目の試験的作品がこちら。初めて炭化珪素、あるいはシリコンカーバイドと呼ばれる素材を使ってみた。信楽白土に2%ほど混ぜて泥漿化きたものを塗り重ね、さらにマグネシヤマット釉そのものにも若干混ぜてみた。早く小さめのマミラリアを植え込みたい。
効果としては狙い通り。粘菌や胞子嚢のような有機的なテクスチャーが生み出せた。
境目のトルコ青結晶釉下地も発泡している。炭化珪素はあれこれ遊べそうだ。白土の上に筆で何度も厚塗りしたのでトルコ青結晶もドギツイくらいに鮮やかに発色してくれた。厚塗りすると釉剥がれすることも多いので申し分のない塩梅だ。
左はトルコ青結晶釉で焼いたもの。眼窩が大きすぎて造形が少し気にくわない。庭の土の中に半分埋もれるように植え込んでみようか。
これまでの豆鹿頭骨鉢はモノトーンか青緑系統が多かった。あと一つ、弁柄で輪郭を描いた上に一号透明釉を掛けたものを還元焼成待ちだ。
これまで様々に試してきたが、金ラスター筆塗り、マグネシヤマットどぶ漬け、トルコ青結晶に炭化珪素で粘菌を加飾したものの三つが満足度が高い。
今後、試してみたいのは
弁柄ではなく呉須で輪郭を描き、一号透明釉で還元焼成。
表面に和文様を描いて辰砂をどぶ漬け。
団子虫鉢も見事に焼きあがった。メタリックに仕上げたかったのだがほぼ期待通りの瓦のような燻銀。土を入れて植え込んだ後に重心が変わらないか確認は必要だが、むしろ安定性は増すのではないか。
暗所に置くと、重厚感のある黒に見える。
直射日光の下に置くと、その金属光沢感は一層、強まる。こいつも大事に育てて行きたいマミラリアを植え込みたい。ひょろひょろっと長い老楽に根元を群生株で覆うのが理想的。
ここまで、窯出しの成果は期待以上と言える。発色不良、剥がれ、釉垂れもなく、満足のいく焼き上がりばかり。こんなことは滅多にない。そして次回に同じようにやったつもりでも再現できなかったりする。
運を使い切らずに良かったか。水槽の投げ込みフィルターカバーは筆塗りしたマグネシヤマットが白く発色してくれなかった。
しかもこちらには炭化珪素を混ぜた覚えもないのに発泡している。
薄褐色の下地が見えてしまっている。
幸いにして崩れたりしていないので、ヤマト糊を混ぜたマグネシヤマットを筆で厚塗りして二度焼き再生しようかと思う。