半年間、窯場で本焼成待ちをしていた山羊頭鉢をようやく焼くことができた。釉垂れも変形も破損もなくうまく焼けたと思う。
底には水抜き穴を設けてあるれっきとした植木鉢なのだけれども、意図した別の用途がある。
鉢の中にソケットを仕込み、首の後ろのスリットからコードを出して頭の上から裸電球が出るようにした。
そう、ランプ台。明るい日中だと照明をつけてもまぶしくない程度のルーメン。頭の中で描いていたのは筒状の細長い裸電球なのだが手元にないのでとりあえず適当な裸電球を嵌めてみた。静物的な山羊の表情と土っぽさが残った陶肌は気に入っている。
工房の方は、何やら哲学的な表情をした山羊ですね、とのこと。山羊哲学なんてものがあるだろうか。
フィラメントの華奢な線が見ていて飽きない。
夜に灯すと、電球の光源が近いので角の鈍い黒光りが増し、雰囲気がまた変わる。
鉢の底は分厚くしてあり重心が低く安定性もすこぶる良い。
なかなか満足のいる作品が焼けたと思う。