昨晩、路地裏で爺様がずっと空を見上げたまま動かなかったのは中秋の名月だったか。
素晴らしい気候。湿度も下がり、瑞々しい薄い花弁が再び咲き乱れる季節。向日葵のような、椿のような厚ぼったい花が咲き乱れるのとはやはり風情は異なる。10月初旬の気持ちの良い朝8時。
カクトラノオ。紫蘇界の花形。英名「False Dragon Head」は和訳すると偽龍頭か。ドラゴンヘッドだなんてファンタジック。
今朝の散歩の白眉は曼珠沙華。陽が射さない陰に目の覚めるような赤を放っていた。
この個性的な造形。平常時は毒花、飢饉においては救荒植物、生薬でもある。この美しい容姿を持ちながら忌み花、地獄花、捨子花、死人花と呼ばれる物語性。
上から見ると輪なのですね。彼岸花。
昔住んでいた京都東山の三条京阪から蹴上を抜けて御陵へと至る峠道の沿道に、この彼岸花が幽玄に咲き並んでいたのは背筋が薄寒くなる光景で今でも思い出す。一人で峠を自転車を漕ぐといつも無意識のうちに全力で走り抜けようとしていた。
彼岸花も美しいけれども、その下の羊歯の葉色も素晴らしい。
埼玉県の彼岸花の名所、巾着田の雑木林の中の500万本の大群生を一度は見てみたいものだ。このコロナのご時世だからこそ、今年こそ行くチャンスなのか。それともだからこそ混むのか。グズグズしているうちに曼珠沙華はすぐに散る。
秋桜は旨いか。
木立朝鮮朝顔。なんとも立派だ。やたらピンクの鮮やかな株を見つけた。オレンジの印象が強いので新鮮。
負けじと百日紅もまだ咲き誇る。さては千日紅より花期が長くないか。世間に万日紅という花は無い様子。なぜ誰も園芸品種名としてつけないのだろう。
多くのサボテン、多肉植物の成長期到来。夏越し、おめでとう。君らは生き延びた。